第24章 繋がること
『あげてない…あげられて、ない…』
「俺が人の親になるような人間に見えるか?学生なんかと関わったり、学校行事見に行ったり…クリスマスなんかを楽しみにしたり」
『…中也さんは、できるもん』
「……お前と出逢っていない俺でもか?」
言われてから少し、ドキリとした。
そう言われると、断言できない自分がいる。
そもそも彼の今に至るまでの人格形成に関しては、私が迷惑をたくさんかけ、それと合わせて織田作が関わっていた節が大いにある。
確かにこの人は、私を育てることによって自分もある意味成長をしているのだから。
そしてそれは、誰が見てもそう感じられることだから。
『…私がいなくても…紅葉さん、とか……いるもの』
「…お前がいてくれないと、多分俺今頃フリーだぜ?誰にもこんなに興味持ててねえよ」
『……お願い…何かお願い、して…?…いっぱいわがまましてよ…』
「わがままなあ…ずっとお前といられることが一番だよ」
またそう言うから。
それしか願ってくれないから。
『クリスマス、なんでしょ…?中也さん、なんか…私よりずっと子供なんだか、らっ…お願い…』
「…んじゃ、無茶なお願いしてもいいか?お前が悲しむかもしれねえし、嫌に思うかもしれねえこと」
『!…いい。…中也さんのお願い叶えられるなら、いい』
「言うと思ったから言いたくなかったんだよ……俺もこんな風に言うのはいけねえことだとは思うんだが…」
耳に口を近づけられて放たれた彼からのお願いに、一瞬頭の中が真っ白になった。
悲しんだわけでも、嫌に思ったわけでもない。
ただ、理解に苦しんだ。
どうして彼がそれを望むに至ったのかが分からなくて…いや、そうじゃない。
言葉が浮かんでこないのだ。
「…な?困っちまうだろ」
『い、…や、……そ、じゃなくて…っ?…な、んで…しない、って…あれ…?』
「俺はもう、いつでも心の準備は出来てたけどな。ただ、お前に言っちまうとすぐにでも承諾しちまうんじゃねえかと思ったから…考えてみてくれるか?それだけでいい。答えはノーでも構わない」
『……はい、って…言ったら…?』
「…誓のキスでも先にいただくかな。クリスマスプレゼントだから、明日にでも」
いいながら、口付けるくせに。
そうされてようやくわかった。
そっか…私今、嬉しいを通り越して感動してるんだ。