第24章 繋がること
冬休み一日目。
言い換えるとそれは、クリスマスイブの前日。
案の定探偵社の事務所からは追い出され、行き着く先は中也の執務室。
「そう不貞腐れんなって、いい奴らじゃねえか」
『…蝶、仕事したい』
「俺と一緒にいるのは嫌か?」
『そういう言い方ずるい』
手伝わせてくれないし。
書類を触らせてさえくれない。
『……!じゃあ蝶、今年サンタさん捕まえて中也にプレゼントする計画立て「蝶、横浜のサンタは捕まえるとサンタの能力を失っちまうらしいぞ?」!?じゃあ捕まえても意味ないの!!?』
「そうだ。サンタ達の能力を悪用されない為にサンタ界のトップはそんな力を持ってんだよ」
『折角中也に…!!じゃあ私がサンタさんに弟子入りして中也に毎日プレゼントを「サンタになったら年に一回のクリスマスにしか誰かと会えなくなっちまうぞ?勿論俺にも」蝶、サンタさんになるのやめます』
「いい判断だ。サンタからのプレゼントは皆に平等に渡る権利があるからな」
皆に平等に、か…確かに、こんな私にもプレゼントは届いていたし。
『……?…じゃあ、なんで中也にはプレゼント来てなかったの?』
「ああ!?…あ、あー…俺がプレゼントを頼んでなかったからじゃねえか?それにほら、俺もう大人だし」
『でも私のこと拾った時期って、今の私より年下だったよね?』
「親って立場になっちまったから無効なんだろ、プレゼント貰えんのは子供だけなんだよ」
『私この世で一番お姉さんよ?』
「今までお姉さんしてきてたからそろそろ子供になってろって天が言ってんだよ、それに俺はお前がいてくれりゃ十分すぎるクリスマスプレゼントだ」
プレゼントを頼まないのか…変わった人。
いや、私がいたから変わったのか…?
それとも、元からこういう人だっけ。
『…中也には…サンタさん、は?…来たことある?』
「!…俺に?そうだな…強いて言うならお前かな」
『……そっか』
それ以上は聞かないでおこうと、少しだけ身を引いた。
何故なら、本来ならば彼がプレゼントを貰えていたであろう時期を…それを、私が全て奪ってしまったから。
しかし、それでもきっとこの人は、寧ろ幸せだと口にする。
____私と逢う前は、私と同じだったから。
「…阿呆、気にすんな。“家族”なんてもん貰っちまった幸せもんだぞ?俺は」
それは、私の方なのにな…。