第20章 家族というもの
太宰さんからの提案に、素直にいつの間にか頷いていて、そのまま無言になる。
谷崎さんは冗談でよかったと顔を真っ赤にさせながら本気で安堵しており、ある意味一番被害を被っていた。
「ああ、それと蝶ちゃんもう一つ」
『?なんです?もう変な冗談はやめてくださ「いつまで私の上に乗ってたいのかなぁって…そんなに求められてちゃあ私も男になっちゃうよねぇ」……あ…』
にこにこと笑顔のまま言い放った太宰さんに今の状況を確認すると、羞恥で私まで谷崎さんのように真っ赤になった…気がする。
「うん、だからさ?恥ずかしがってるのすごい可愛いんだけどそのままだと色々と拙いから…」
『し、失礼しました…!!!』
「「え…」」
慌てて作った白い扉。
逃げるようにそこへ駆け込んで、とっととその扉を閉めきった。
「…………逃げちゃいましたね?」
「うふふ、可愛いでしょう蝶ちゃんは?昔からこういう耐性はほんとに無くてねぇ…」
「…太宰さん、あの……まさかさっきの、本気で…?」
「え〜?気になる?そこ……お兄ちゃんは大変なんだよねえ、妹の事、困らせすぎちゃあいけないからさ」
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「…ものすごく疲れてそう…?大丈夫?」
『は、はい…なんでもないです』
「思ってたより早くて驚いたけど……兄さんもそろそろ仕事が終わっただろうし、行きます?」
『!はい、行きま………?』
言いかけて、少し休んで息を整えたその時。
銀さんと再会し、歩きだそうとしたところで感じた違和感。
「?蝶ちゃん…?」
『……殺気』
「え…」
そう、殺気。
私に向けられているものなのか…はたまた銀さんに向けられているものなのか。
けれど、一回目に今日会ってた時は感じなかった殺気だ。
ホルスターから銃を抜いて、殺気の向けられた方向へ向けて銃を構える。
ビルの屋上…多分、監視されてたか狙われてたか。
威嚇するべきか否か。
迷ったけれど、殺気を放っていたと思わしき人物の気配が移動し始めたため、街の人達の事もあるから逃げる選択を。
『誰かが追ってくるかもしれません、走りましょう』
「追ってって…それなら二手に分かれた方がいいんじゃ…?」
『私、昔より能力扱えるようになってますから…おびき出して捕まえて事情聴取です』
「蝶ちゃん…………中原さんに似てきたって、言われない?嬉しそう…」
