第20章 家族というもの
「まあこれが俺とその他大勢との格の差ってやつだな」
「僕に向けてわざとらしく見せつけなくていいよもう!!?」
『……ッ、中也さぁ…ん…っ』
「!…中也」
『ぁ…ちゅ、…や……… だっこ…』
「もうしてんだろ…もっと?」
コクリと首を縦に振ると、しょうがねえなと言いつつも嬉しそうに両手でぎゅ、と抱きしめてくれた。
「…あの、蝶ちゃん?トウェインさん久しぶりの登場なんだけど〜……」
『……いきなり抱きついてくるのやだ』
「ごめんねえええ!!!?」
『でも一途なとこ好き…中也さん、すぐ他の子にばっかり構っちゃうの。今日もね?……一昨日も…前、も……その前も…』
ピシィッ、と音を立てて固まった中也。
対照的にトウェインさんはぱああっと明るくなる。
「あの…元気出せよ兄ちゃん、確かに隣にこの子いる割に他によく構ってるなぁとは思ってたが…」
「恋人ならもう少しくらい嬢ちゃんくらいの年なら構ってほしいもんだろうとも思うが…浮気じゃねえにしても、同年代の女の子相手ばっかりじゃなあ…?」
「…中原君そんなに構ってあげてなかったの?その上他の子とばっか喋ってたの?」
「……蝶、の世話になってる奴ら…でな……その…」
「これだから日本の男は……」
マーガレットさんにまで溜息を吐かれる始末。
確かに…言われてみれば、人前でも変わらずいてくれる他の国の人とは違って、日本の人はそういう部分があるような気がするのは否めない。
私だって、海外経験多いし。
「中原さんレアキャラだし確かに結構喋っちゃうよね、面白いしいい人だし…」
「うん……けど、多分蝶ちゃん元々日本生まれじゃないだろうし、海外の文化で慣れてたら私達が思ってるよりもずっとずっと嫌なんじゃない…かな?」
『カエデちゃん大好き…』
「えっ、ええっ!!?ありがと!!?」
能力でカエデちゃんのところに抱きつきに行ってその場から離れた。
思えばカエデちゃんは修学旅行以来、私が羨ましがるようなことはしてなかったように思えるし。
それにこの子、多分周りが思ってるよりも大人な子……私が中也が手引かれてて妬いたの知ってからか、それからは多分ある程度線引きをしてくれてるような。
そんな気がする。
それに、さっきのだって的確だし。
日本人の感覚は分かりきってはいないのだけれど…それでも、嫌だ。