第20章 家族というもの
ゴンッッ!!!
と、かなり大きめの鈍い音が響いてマーク氏、もといトウェインさんが私から腕を離して蹲る。
それに混乱してトウェインさんを見ると、頭を両手で押さえてプルプルと痛みに悶えるように震えながら唸っていた。
「う…そ、そんな本気で殴る!!?ねえ!?いいじゃないか、どうせ君毎日毎日栄養補給してるんでしょう!!?」
『わ…ッッ!!?ちょ…っ、きゃ…!!?』
トウェインさんが半泣きになりながら叫んだ先に目を向ける前に、今度は力強く引っ張られ、トウェインさんから隠すようにして片手で抱きしめられた。
トウェインさんに制裁を下した張本人によって。
「俺は殴ってんじゃねえよ、手前なんざ拳を使うまでもねぇ。肘だ肘、これでも十分すぎるくらいだぜ」
「本気でキレてんじゃん!?肘ってそれ拳より本気でしょねえ!!?」
『…ち、中也……っ、?』
しかし今はそれどころではない。
気付いてないのかこの人は、自分の上着に隠れてて見えないからって気付きませんってか。
「……何だよ」
『……あ、の…ちょっと…手…ッ』
言うのも恥ずかしくてしどろもどろになるのだけれど、手、と言われて中也は手を少し動かした。
それと同時にピクッ、と体が跳ねれば、まだ気付いていないのか……それとも気付いた上でわざとなのか、既に手で触れている私の胸の膨らみの片方を、柔らかく片手で掴んだのだ。
『へ…ッ、あ、ちょっ……ッッ!!』
「な、中原君?蝶ちゃん苦しいんじゃ…?」
「手前にだけは言われたくねえよ変態」
「変態…!!!?」
「人のもんに手ぇ出すなっての、そんなに出したきゃ他当たれ」
『ン…ッ、ぅ……!!!?』
「「「「「___!!!?」」」」」
言った直後にその場が騒然とする。
それもそうか…私だってついていけない。
けど、まず分かるのは…胸元でいじらしく動くこの手はわざとであるということ。
口付けられるところまではまだあったにせよ、これは流石に久々だ。
『ぁ、の、中…ッん…、ぁ……っ、ぅ…ふ…ッ…』
中也の舌が口の中を撫で尽くす。
「…ん、……」
『…ッ!!?ン、ッ!!…ん…ぁ、ン…っ、ン、ンンンッ…』
しかしそれと一緒に彼は衣服の上から胸の先端をピンポイントにキュ、と指でつまんでから、そのまま指で可愛がるように首をいじってきたのだ。
すぐに膝から崩れ落ちた。