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第20章 家族というもの


「お前今能力使ったろ、バッチリ見えたぞ?」

『…つ、使ったら何』

「いや?必死過ぎて面白ぇなって思って」

『お客様、お出口お作りしましょうか?』

「あー美味ぇなこのゼリー。流石は蝶が考案しただけの事はある」

『へ…っ、そ、そんな事言ったって全然…ぜ、全然許してなんかあげないんだからッ!!』

あれ、してやられた。
普段ならだいたいすんませんでしたって即答で謝られるところだったのに。

許してあげないとか何言ってんの私、怒ってますって言ってるようなものじゃないこれじゃあ。

「そうか、蝶に許してもらえねえのはそれはそれは心が痛むなぁ…どうすりゃ機嫌直してくれっかな蝶さんは?とりあえず俺はよく思いつかねえから、ゼリー半分こするところから始めてみようと思うんだが」

『んむ…ッ!!……おいひぃ…♪』

「「「悪い大人が餌付けしてる図にしかみえねえ…」」」

「ああ、いけねえ。俺としたことが蝶に食わせる前に言わせるの忘れてた……もう食っちまったけど蝶、食べる前に言うことあるな?」

『あ…いただきます』

ってそうじゃない。
言ってから一斉に刺さった視線と無言の圧力によって理解した。

何を律儀に挨拶をしているんだ私は、これじゃあどう考えてもこの人の思うつぼじゃないか。

『…ち、中也さん、いい加減に私で遊ぶのは……ッひゃ…!?』

「よく出来ました、いい子だな蝶は」

『は、ぅ…いい子?ほんと??蝶いい子?』

「おう、決まってんだろ?蝶はいい子だ、キスしてぇくらいに」

頭を唐突に撫でられた挙句に褒められていい気になっていれば、とんでもない事を口走り始める中也。
流石にそれに正気に戻るも、既に小さくなった体には中也の腕が回されていて、抱き寄せられている状態だった。

『え、あ、のッ…ま、まって中也さん、今私六歳!!分かってる!?子供!!餓鬼なの、中也さんが嫌いな餓鬼です!!!』

「俺の大好きな蝶さんの間違いだろ、さっきの仕返しな?問答無用だ」

『や…、こ、こんなのダメじゃ…あ、あわ……ッッ!!!』

唇が触れ合うと同時に体も服も元に戻った。
そのまま軽く唇を吸われて、身体に力が入らず中也にいいように抱きしめられる。

「ははっ、恥ずかしがり過ぎだろお前…本当俺の事好きだよな」

『……も、無理…馬鹿…っ』

「馬鹿で結構…帰ったらちゃんと可愛がってやるよ」
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