第19章 繋がり
「…」
『…』
「……あのな?バレてるの分かってんだろ?隠れる気もねえよな、隣来いよこら」
現在、中也さんを尾行中であります。
何故かと申しますと、経緯は様々あるのですが、単に彼の頭がおかしいからなのです。
『…怪しい……戦闘力測定があんなにぬるいわけがない』
「お前筋力戻ってねえんだしあれくらいで勘弁してくれよ!?つか俺の異能無しじゃしんどいくせしてやろうとすんな!」
『中也さん私のことなめてますよね、絶対見くびってますよね、女の子扱いしてますよね』
「してねえよ!!!寧ろお前が元々強いからぬるく感じただけだろ!?他の奴らなんかすぐに悲鳴あげて途中でやめる羽目になるくらいなんだぞ!?」
それというのも、訓練室にて行った異能力無しの戦闘力測定…という名の肉弾戦試合。
私は今の体の状態を考えて、主に合気道の動きを主体に動いていたのだけれど…あっさり、それもすぐに終わってしまった。
「あれだけで十分なくらいにお前の技術が高かっただけだ!いいか!?これ以上やるとかほざいてんなら今から行く喫茶店でのデザート抜きだぞ、とっととそんな所出てきて隣来い!!」
『…納得いかない。私肉弾戦苦手な方なのに、それだけ見られたって……中也さん、私にお仕事させる気ありますか?』
「入りたては書類仕事からだ。それにお前、自分で分かってんじゃねえか?筋力足りてねえ上にまだ体がちゃんと出来てないって…元気な状態になったら訓練つけてやっから」
『!!中也さんの訓練…!体術のですか!?』
「お、おう…?嬉しそうだな蝶、普通皆して俺の訓練とか悲鳴上げて逃げていくのに」
『じゃあ私あれ…一番弟子!!なる!!体術の!!!』
パッと顔色を明るくして、わくわくしながらそう言えば、中也さんが目を丸くした。
それから少しだけ間があって、動揺したように中也さんが口を開く。
「お前…俺のって……んなもん自分からなりたがる奴いねえぞ?それに別に体術じゃなくても、まだ今は他にある得意分野でいいんじゃねえのか?」
『第二第三の刃を隠しておかなきゃダメなんですからプロは!私の一番のコンプレックスさえどうにか出来れば怖いものなしですよ…それに言ってなかったですけど、私の得意分野は“体術以外”なので』
「……そりゃ頼もしい。…んじゃ、早く体治さねえとな……食いに行くぞ、そっから出てこい」