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第19章 繋がり


「失礼します森先生、ここに中原来てませ………えらく…懐かれてるな?」

『!織田作…!』

「「「えっ」」」

椅子から立ち上がって、織田作の方へ小走りでかけていく。

すると目の前まで行ったところで織田作はまたしゃがんで私と目線を合わせ、驚いたように目をきょとんとさせながらどうした?と問う。

『ううん、今日会ってなかったから…また会えたなあって』

「そうだな…昨日ぶりだ。…随分期限が良さそうじゃないか?何かいいことでもあったのか?」

『ん…織田作が言った通りだった』

「?……中原の事が気に入ったか?」

コクリと頷くとそうかそうか、と頭に手を乗せてなでなでされる。
それに気分を良くして、少しの擽ったさに思わず頬が緩んだり。

『織田作も好き…何かお礼したい』

私がここまで素直になれるのも、彼の後押しがあったから。
彼にそんな自覚は無いのかもしれないけれど、中也さんと向き合おうと思えたのだって彼のおかげだ。

「礼も何も、お前が元気に育ってくれたらそれが一番嬉しいさ。俺も、他の奴らも……中原も」

『?…本当?中也さんも……?』

「……ああ、中原もだ」

『…すぐに織田作よりもおっきくなるね?』

「おう、やってみろ」

子供の冗談にも付き合ってくれるのは天然だろうか、親切だろうか。

『織田作…たまにはつっこまないとダメよ?』

「?今のはそういうものだったのか?すまない、気を付ける」

どうやら前者だったらしい。
人の良さが伺える…子供好きなのだろうか?

「…………蝶…さんよ。こっち戻って…来たいなあとかは思われませんかね」

「…ほら、中原が妬いてるから戻ってやれ」

ぽんぽん、と最後に軽く撫でてから織田作はその場でまた立ち上がった。
その通りに中也さんの元へ戻ると、何故だか動揺したように彼は口を開く。

「お前…織田と結構仲良いよな」

『織田作、不思議な人。…いい人』

「……お、俺は?」

『中也さん…?………中也、さんは…好き』

きゅ、と上着に抱きついて、ポソリと彼にだけ聞こえるくらいの声の小ささでそう言った。

「…他の奴らにんな事言うんじゃねえぞ?お前」

『?蝶、中也さんにしか言わない…中也さん…は、一番好き』

「〜〜〜っ!!!もう今日俺仕事すんのやめてお前と寝ようか!?」

「中也君どうしたのいきなり、ダメだからね?」
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