第19章 繋がり
「いや〜…蝶ちゃんそんなに僕の方に来るの嫌?」
『…』
「蝶?森さん別に何もしねえぞ?確かにこの人の服の趣味はあれだが…」
「ちょっと、あれって何かな中也君」
というか今それ関係ないよね、診察だよねこれ?
と半泣きになる森さんだけれど、気にはしない。
「本当にもう大丈夫なのか?…確かに自力で座れてるっちゃ座れてるが…にしても、本当すごかったな。流石といえば流石だが、まさかあれほどとは」
私の能力を…それもあんなやつを目の前で見て、怖がるどころか尊敬する人もこの人くらいなもの。
初見であれを見せる人だってそんなに今までいなかったけれど。
『……中也さんの方が凄い』
「好きなだけ好きなもん買ってやるからな、待ってろよ蝶」
『それいらない…』
「ねえ、いつの間にそんなに仲良くなっちゃったの君達??」
「仲良く…なんですか?これ」
『…蝶、中也さん好き』
「「ブッ…!!!?」」
何故だか一斉に吹き出した二人に首を傾げる。
それと一緒に素直に言ったのが少し気恥ずかしくなって、また中也さんの後ろに隠れた。
「好き…っ、てそれ……えっ、蝶ちゃんそれどういう事!?」
「ち、蝶…そういうのは本当に好きな奴にしか言っちゃ『…嘘じゃないのに……』じゃあお前こんな野郎と結婚でも出来るってのか!!?」
『……中也さんが…したいなら、蝶出来る…?』
「…中也君、この子は、純粋に育ててあげるんだよ」
「……蝶、俺が愚かだった。今のは忘れろ…そうかそうか、俺が好きか。いい子だ…今日はどこで寝たい?」
『!中也さんと…』
「君この子に何教えこんでるの…?」
昨日、心地よかったから。
安心できる人に寝かせてもらうの、本当に久しぶりだった…誰かに寝かせてもらうのがあんなにも心地いいものなんて、忘れてた。
「…じゃあ、寝付くまでな?まだ何日か仕事に時間がかかりそうだから、またキリがよくなったら『一緒に…?』!…おう、勿論いいぞ」
「中也君、君中々蝶ちゃんに甘々だね…想像つかないくらいの親バカになりそうだよ君」
『親バカ…?中也さん、頭いいのに……?』
「「全くもってその通りです蝶さん…!!」」
森さんと中也さんは仲良し、それだけがよく分かった。
ここまで仲がいいのも、なんていうか羨ましいような…
ちょっとだけ胸がもやっとしたのは小さな私だけの秘密。
