第19章 繋がり
親と言われる生き物は、大きくわけて二つの種類に分類されると考えている。
それは単純に、子供を愛しているか愛していないか。
まだこの世界に来る前の段階であれば、素直にありがたく思えるところもあっただろう。
しかし皮肉な事にも、私がこの世界にやって来て一番最初に親だと言い聞かせられたのは、かの柳沢誇太郎だったのだ。
『……そ、んなことまでしていただかなくて大丈夫…なの、で……本当に…』
親になんてならないで。
あんな存在にならないで。
貴方はあんなのに、ならないで。
自分で自分の気持ちが分からない。
もしもこんな素敵な人が私を育ててくれるというのなら、それはどんなに幸せなことだろうって、理解するだけの頭は持っているのに。
「…いいや、する。お前がなんでそんなに拒むのかは聞いてねえから知らねえが、少なくとも俺はお前に躾なんてもんはしねえよ…ちゃんと頼るべきところは頼るもんだって、少し教育するだけだ」
『…?教育……?』
「中也が教育とか…君どちらかと言えば教育される側なんじゃないの?」
「手前は黙ってろ糞木偶が!!……そんなに警戒しなくても、俺はお前に手は上げられねえだろうから安心し「泣かれちゃっただけでもあたふたしてたもんねぇ?面白いくらいに!」手前後で死なす…!!」
そういえば…確かに。
泣きそうになるのを怒られもしなかったし、泣くのを止められもしなかった。
こんなの、いつぶりの感覚だろう。
私が痛がったり嫌がったり悲しんだりして泣いてても、それを力でねじ伏せるようなことはされなかった…こんなに強い力を持っているのに。
「それに蝶ちゃん、こいつの能力からなら君は抜け出せるだろう?そんなに凄い力を持っているんだ……なんなら、今すぐ私の異能力無効化でこいつを止めてあげよう!そのまま私の元まで逃げてきてしま「手前はまた何吹き込んでやがんだよ!!」いいの?そんなにかっかしてると蝶ちゃん怖がって逃げちゃうかもよ?」
太宰さんが言った途端に顔を青くさせてダラダラと冷や汗を流す中也さん。
「………家出するならせめて森さんか姐さんか織田の所にしてくれ!!こいつのところだけは…!!」
『…家出…?』
そういうノリなの?この人…
そんな軽い言葉で…逃げるような事があっても許してもらえるの?
「こいつ、蝶ちゃんにベタ惚れだから大丈夫だよ」
『!…へ?』
