第18章 縁の時間
「で、酔っぱらっちゃった蝶を連れて戻ってきたはいいものの」
「結局起こそうにも起こせなくて?」
「連れて来ちゃったんですねぇ?教室まで」
「うっせえよ…仕方ねえだろ、起こせるかよ。こいつの酒癖の悪さ舐めんな…」
そんなに酒が入ると豹変するのかと驚く餓鬼共。
いや、豹変するとかいうようなもんじゃあないのだが…ある意味それよりタチが悪い。
大体酒飲んで本音出しまくって俺んとこ来るとか何なんだよこいつ、俺の理性吹っ飛ばすのがそんなに好きか、そうかそうか可愛いなこの野郎。
「とりあえず酔いが覚めれば「え、起こそうよ」……気持ちよさそうに寝てんだろ!!?」
本音はこっちだ。
仕方がない、目…否、俺の癒し。
保養だ、保養。
「「「そんな事だろうとは思ってました」」」
「はいはい、いいから起こすよ。蝶抜きで出し物なんか決めれないんだし…ていうか中也さんがこれ以上おかしくなんの見てられないし」
『ん……中也さ…?』
「!?だ、…っ、からお前はなんでそういうタイミングで起き『中也さぁん…っ!!会いたかったあぁ…ッ』ちょ、お前まさか寝惚け…っ!!?お、おい蝶!!?流石にここじゃあ拙…!!」
急にガバッと俺の名を呼んだカルマの声に反応して起き上がったかと思えば、そのまま勢いで俺に馬乗りになるように抱き着いて押し倒してきやがった。
いや、可愛い…じゃなくて何だこのデジャヴは。
ろくな予感がしねえぞおい。
『中也の浮気者ぉ……また違う子とばっかり…ッ』
「!?待て待て、俺がいつ浮気を『いっつもそうやって蝶のこと悲しくさせるの…!!』だから俺は誰にもそんな気は…っ、おい…」
「「「!!!!?」」」
首元に少し前と同じように吸い付く蝶。
いや、こいつ今何も見えてねえなこの状況、多分俺のことしか考えてねえ。
『………あげない』
「……蝶さん、続きはせめてどこか別の場所でしねえか。中学生の餓鬼共の目の前でこれは流石に早『だぁめ…蝶さん中也さんといっぱいキスしなきゃやあ……』分かったから移動するか能力で酔い覚ますかどっちかにしてくれ、一応ここ学校だろ。な」
俺の服に手をかけた蝶の手を軽く取って、そのまま異能で手だけを動かないようにする。
「…………な、中原さん?……これは?」
「……だから言ったろ、今こいつ酔ってるからって…酒癖悪いんだよ本当…」