第18章 縁の時間
中也からのまさかの返しに目を見開いて言葉を止める。
本当に、どうしようもないくらいに好きで好きで仕方がなくて、その分本当に殺してやりたいくらいに悲しくて、寂しくて…
なのに、こんな化物じみた頭をもつ私に向かって、今この人は何と言った?
『何、言って…』
「そんなに俺の事が好きで堪らねえんだろ?…そこまで思ってもらえるような相手に出逢えて俺はすっげえ幸せもんだ……それに、お前がそこまで無茶な事言ってくれんのも俺は嬉しい」
『……頭おかしいんじゃ、ないの…怖くないの!?わがまましか言わなくって嫌になったんじゃないの!!?…っ、いらなくなるんじゃないの…ッ?』
「わがままなくれえがいいんだよ…それにお前にゃ俺は殺せねえ。理由は簡単だ。お前が俺の事を狂うくらいに好きな上に……俺の眼中には元よりお前以外の女は存在しねえからだ」
口元を緩めて微笑む中也にドキリとして、そのまままた中也の首元に顔を埋めて口付けた。
好き……大好き。
離れない…離さない。
「ほら、すぐそうやって俺の事独占したがる…ッ、……照れ隠しついでにマーキングしてんじゃねえよ、皮膚の色がそのうち真っ赤になりそうだ」
『…真っ赤にしてほしい?』
「ん?…悪くはねえな。ただ、そしたら仕返しに俺はお前の綺麗な肌を同じように印で埋め尽くしたくなっちまうんだが…お前恥ずかしすぎてもたねえだろ」
『!…試してみる?』
「………酒入ってっとえらく積極的になるよなお前。…まあ、するなら場所を変えてから___」
「あ、あの中原さん…荷物をお持ちしたのですが…」
恥ずかしそうな声を放つ女性……基、ソラさん。
ああ、来ちゃったんだ。
「…見ての通り、うちの子猫がやきもち妬いて拗ねてんだ。帰国前にちゃんと誤解といておいてやってくれねえか?」
『!……帰国前…って…』
中也の声にピクリと反応し、目を丸くしてソラさんの方を向く。
「…はい、ご迷惑を沢山おかけしましたし、本当にお世話になりました……首領のご意向で私は本国に帰ることになって…白石さんに、せめて何か贈りたいなって。それで中原さんに相談していたんです」
『……なんで、私に…?』
「私が助けを求めた時に、白石さんは真っ先に信じて下さりました…本当に嬉しかったんです。本当に…なんてお礼をしたらいいのか分からなくて…」