第15章 大切な人
「流石にちょっと怖いって?武装探偵社っつっても所詮は女の子ってとこだな、反応が初で可愛いわ~」
『あ、あの…彼女さんがいるんじゃ……っ?』
「彼女?……ああ、ちっちゃい蝶ちゃんにはあんまり分からないような関係性だから気にしねえでいいよ♪それより実物本当可愛いねぇ。これから暇?ちょっとおにーさんらといい所行かない?」
『いや、だから連れが「連れなんか放っといていいじゃん♪ま、とりあえずそのほっぺた綺麗にしてあげるね~」ゃ…ッきゃ……!?あ、あのっ、本当にやめ…ンッ……!!』
肩に手を置かれてゾワリとした。
気持ちいいものなんかじゃない。
ただ単純に気持ち悪い…嫌悪感が収まらない。
そんなもの。
肩を少し跳ねさせて力ませればおお、と何故か感嘆される。
「お嬢ちゃん本当に可愛いね…そんな怖がんないでよ、おにーさん泣いちゃうよ?」
「お前が泣くとか気持ち悪っ!蝶ちゃん、こんな奴放っといて俺がチューしてあげよっか?口に♡」
『!!?や…ッ!!?……っ、た…ぃ……離し…ッ!』
抵抗するなと脅すように強い力で腕を圧迫されて、それに遂に顔を歪める。
「そんな嫌がんなくてもいいじゃんって♪ほら、すぐに終わるからさ!」
『ッひ…、ッい、た…っ……やっ、触らな…………ッ』
クリームのついていない方の頬に手を添えられて、思わず顔を横に向けて抵抗した。
「あ?そういうことする?ノリ悪いわ~」
「お前嫌われてんじゃね?めっちゃ嫌がられてんじゃん」
「いやいや、ほっぺた触っただけでこんな可愛い反応する子も珍しいって…あーやばい、本気でクるわ。そろそろ貰うね、そんな反応じゃあファーストかもしれないけど、なんなら俺と付き合ってもいいよ♡」
幼女趣味?なんて笑うような声が木霊する中、ゆっくりと顔が近付いてくる。
それに嫌だ嫌だと首を振れば更に腕に力を加えられて、あまりの痛みに動けなくなった。
『ゃ……っ、…ちゅ…やさ……ッ』
「おお!チューして欲しいって?なら遠慮な____ク………ッッ!!!?」
突如、風を切るような音と共に無くなった痛みと嫌悪感。
声にもならない声で悶えるような音を他所に、ギュッと目を瞑ったまま、開けるのも怖くてその場で蹲った。
「……穏やかじゃねえ事してんじゃねえよ、手前らここどこだと思ってんだ?あ?そんなにしてえなら手前らでしてろ」