第15章 大切な人
「あ、まーた中原さんが蝶ちゃんのこと口説いてる」
「口説くも何もとっくに交際してるんだから文句ねえだろ!!?」
「「「交際してる!!!?」」」
先程までの怒りはどこへやら、女の子達の目線が中也さんに向く。
それに反応してそちらを向いてああ!?と反応する中也さんに少し眉根を寄せた。
「交際相手って…え、本当に一人の人と!?」
「さっき親って言ってなかった!?」
「でも全然似てないわよね!!?」
「育てと名付けの親だっつの!!!馬鹿なのか手前らは!!?」
なんで楽しく茶番しちゃうかなこの人は…いや、中也さん優しいから仕方ないんだけど…
「ああもう、んなことに構ってる暇ねえんだよ!!蝶、ちょっとここで待って…いややっぱ連れてくお前!!とっとと冷やすぞその頬!!!」
『え……ッッ!!?や、ちょっとこれ恥ずかしいからって言って「背負ったまま走ったらお前の体揺さぶっちまうだろうが!!」だからってこれ…っきゃ……ッ』
猛スピードで私を運んでいく中也さんにもう妬くも何も無く、ただくっついて振り落とされないようにするのみだった。
……何よ、結局私優先の考えなんですって?
悔しいなあ、私はここまで中也さんに尽くせた事が、一度でもあっただろうか…
「ほらほら、今あの人の事かっこいいとか一瞬でも思った奴ー。蝶に目の敵にされる前にそれやめといた方がいいよー」
「お、思ってないわよ!!?」
「ならよかった」
「そうそう、あーんな糞蛞蝓やめといた方がいいよ?いつもならこんな手使わないくせして、本当蝶ちゃんの事になると……君達ここの生徒で、しかもまだあいつ曰く糞餓鬼でよかったねえ?これでこの学校と関係の無い大人なんかなら容赦無く一発は御見舞されてたよ」
「「「!!?」」」
「まあ私ならそんな事までしないけど♡……ああ、でも…そんなに言いたい事があるんなら、言いたい事がある人集めてうちにクレームでもぶつけに来なよ。ま、……うちと抗争する覚悟があるんならの話だけどさ♪」
「「「「あの人が一番恐ろしい事言ってねえか??」」」」
「失礼だねえ君達?探偵社は本気だよ?さっき蝶ちゃんも言ってたけどさ、私達、別に全人類のためにとかって旗を掲げてるわけじゃあないからね…まずは大事な仲間から守らなくちゃ」
「「「「今初めて太宰さんのこと尊敬した気がする」」」」