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第14章 わからない人


「……蝶さんよ、もう少しだけ体制を変え『やぁ…』…いや、胸当たってるんすけど!?俺今すっげえ耐えてるとこなんですけど!!」

『…なら我慢しなくても……ごめんなさい』

「!いやいや、なんで謝んだよそこで?」

『……約束…』

蝶は俺から離れようとしてか腕に力を入れて自分で座ろうとするのだが、上手くいかないのか俺の方に体重をかけたままだ。

にしても約束か…俺に言われた事にはなんでこんな重く受け止める癖が付いちまってんだよこいつ。

行為前に蝶とした約束は至ってシンプルなもの。
中には出さない…ちゃんと避妊をするという事。
流石にまだこいつも中学生だし、そこまでしてしまっては普通に考えて犯罪ものだ。

だからそれを飲んでもらったし、まだ今日も残っているため俺は出来るだけ堪えるからと言っておいた。
そして、もしも何かが起こって中に出してしまった場合はすぐにちゃんと対応するように、と。

なんとかセーフではあったものの、これはおさまるのに少々時間がかかりそうだ。

「…怒らねえよ、だからそんな顔すんな……っと、お前今日まだ時間あるのか?そういや」

『!……お昼まで、お休み取ってる』

そうか、こいつは元々Aの野郎を殺すために動いていたんだ。
…俺が色々としてもらってばかりじゃねえか、本当に。

「……ってお前っ、そういや学校にリングとチョーカーと着けて行ってんのか!?」

『へ?…ああ、これ……襟あるからそこまで目立たないし』

「あんま校則とか厳しくねえのかあそこは…じゃなくて、首に着けてて危なくねえのか?動き回りもするんじゃ…」

蝶は自身の身につけている指輪を両手で軽く握り、目を伏せて小さく何かを呟いた。

それがよく聴こえなかったので耳を済ましながらもう一度言ってくれと頼んでみれば、ゆっくりとまた言葉を紡ぐ。

『…中也さんからもらった首輪だから。……蝶は中也さんのものだもの、飼い猫のままでいられなくなるのは嫌…だから』

「首輪って…って、それ全部もしかして俺が……?」

『………思い出した時に、思い出して。…中也さんに思い出してほしい』

ふわりと微笑んだ少女の顔はどこか切なさを感じられた。
そういえば指輪も相当大事にしてたみてえだし…俺のものとは対になっているみてえだし。

ペアリング…いや、これはどこからどう見ても……____
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