• テキストサイズ

Replay

第14章 わからない人


『ち、中也さん…あの、私自分で歩きます…』

「うっせえ、黙って大人しく運ばれてろ。お前完全に何か盛られてんじやねえかそれ、朝そんなにしんどそうじゃなかっただろうが」

『で、でもこれだとまた中也さんにめ「あ?何か文句あるか」…ない、です』

中也さんに言いくるめられたあたりで医務室に到着し、寝台の上に横にされる。
…なんで怒ってるはずなのに、こんなに手つきは優しいんだろう。

今までだってそうだ、この人は私に頭にくることがあっても、決して理不尽な理由で私に手を出したりなんかしなかった。
叩かれたところで、本気で痛くてたまらないようなものなんてなかった。

「……太宰に聞いた。お前の寿命の話と、さっきまでの話」

『………情けないですか?…私の基準は中也さんなんです。だからあの人の事は許せないし、出来ることなら自分の手で息の根まで止めてやりたかった……のに、それもダメだって中也さんに言われてたら、私なんにも出来ないじゃないですか』

「!…まずは朝の件を謝る。すまなかった…お前に出ていって欲しいだなんてことは一度も思ったことは無い上、今日のはどう考えても俺がカッとなっただけだったんだ」

『そんな事ない…私が中也さんに何も言えなくてあんな言い方しか出来なかっただけ』

「俺がお前の怖がりな部分を分かってやれてなかっただけだ。…正直、こんな状況になってるからこんなこと軽々しく口にしちゃいけねえんだろうが……太宰に今日の事を聞いた時も、姐さんや首領なんかにお前の事を聞かされる時も、俺嬉しくて嬉しくて仕方ねえんだよ」

中也さんの突然の言葉に目を丸くして、思わず口が小さく開く。

「俺をそこまで想ってくれるような奴だなんて見破らせちゃくれなかったし、それに何より何も思い出させちゃくれねえみてえだし……なあ、そんなに俺が怖ぇか?」

『……違う…中也さんが怖いんじゃなくて……』

「俺はお前が何を抱えていようと離してなんかやらねえよ…無理に話せとは言わねえが、俺はお前の事や自分の事をちゃんと知りてえ。……お前の事をちゃんと守れる男になりてえ」

『…ちゃんと守ったからこうなっちゃったんだよ?それに私、もう薄々気付いてるかもしれないけど普通の人間じゃないの……さっきだってAさんから普通の人間じゃあないって言わ……ッッ!!?』

中也さんの手が頬に触れ、それに肩を跳ねさせた。
/ 2703ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp