第14章 わからない人

「あれだけあの蝶にキス魔だキス鬼だと言わしめる程にしておいた男がよく言う…」

「待ってくれ姐さん、俺あいつに何してたんだよ！？なあ！？」

「「「結構進んでましたよね」」」

「手前らも揃って何を…………！！！？」

何かを察したのか、中也さんは顔を真っ赤にして言葉を止めた。

そんな事もあったっけ…なんか、もう懐かしいや。
嫌いじゃなかったんだけどな、自分がちゃんと女の子として扱ってもらってる気がして。

……こんな事になるなら、もっと中也さんの言ったようにしてあげてればよかった。
もっと、中也さんと近い歳の身体ならよかった。

＿＿＿名前で呼んであげていればよかった。

後悔ばかりが淡々と押し寄せてくる。
忘れなきゃ、こんな事…もうきっとあんな関係には戻れないから。
戻っちゃいけないから。

「進んでって…待て、俺まさかあいつの許可も取らずにんな事までしてねえよな！！？」

「それは大丈夫ですよ、中原さんですし」

「最後までしたとか聞いたことあるか！？身体に負担かけさせすぎたとか！！」

「頼まれたところで意地でもそこは避けると言っておったぞ？何せ蝶には手厚い奴じゃからな、中也は…色々と躊躇う面もあったようじゃが、何より痛がらせたくなかったんじゃろ」

してればよかったのに。
そんなところで私に遠慮するから、中也さんばっかり我慢してたのに。

護られてた自分が憎い。
情けない…何も、あの人のためになんてなれてない。

中也さんの事、幸せになんてさせてあげられていない。

やっと分かって、ちょっと大人の知識も持って、やっとこれからって時だったのに。

「そ、それならよかった…あいつに泣かれんのはいい気持ちしねえし、何より俺みてえな奴にんな風にされてなくて安心した。どうせなら、やっぱり歳の近い奴の方がいいだろうし…こんな奴相手じゃねえ方があいつも幸せだろ」

「！！中原さん、それは…ｯ」

「ほほう、いつになく弱気ではないか中也…そのような事をあの子の前で言ってみろ、それこそ蝶の奴は悲しむぞ」

私がここにいるのを知ってるのは立原だけなのだろうか。
……そっか、そうだ。
私の歳がただの十四歳なんだって思われてても仕方ない…身体だって全然子供だし。

悲しくないよ、全部仕方ない事だから。

「正直、あいつに俺は釣り合わねえよ……あんな綺麗な奴に、俺は」