第12章 夏の思い出
「で、そんな心配性で優しい蝶ちゃんにねえ…一つ確認しておきい事があるんだよ」
『!確認しておきい事?』
「モビーから脱出出来なかったのは首輪を付けられたからだったんでしょ。顔くらいなら覚えてるよね?……うちの構成員は皆蝶ちゃんに助けてもらった恩がある人ばっかりだからさ、そんな事をするはずがないんだよ」
唐突に問われたその質問に、再びドキリとする。
「そこと今回の敵とが繋がってる可能性は大いにあるわけだし、その相手の顔を覚えてるんなら、もしうちの構成員として潜入していたんならすぐに見つけ出せる」
『…多分、すぐに見つかると思う。けど直接私にあれをつけた人は悪い人じゃないの、だから…』
「……何があったのかは知らないけど、やっぱり相手の事庇ってたんだ。………悪いようにはしない。相手の元を辿りたいだけだから、話してもらえる?」
『約束してくれる?』
うん、と真剣な目を向けられ、それならと口を開く。
…しかし開きかけて、声にするのを躊躇った。
窓を開けてと頼むとトウェインさんは窓を開けてくれ、不思議そうにこちらを見る。
それを気にせず少し息を吸ってから、窓に向かって声を発した。
『酷いことしたら嫌いになるからね!!分かってますか!!』
少し大きく響いた声に、勢いよく窓から進入してこられる。
「………殴るくらいなら『強すぎるからダメ、それで相手殺せるでしょ』…」
「き、君よく姿も現さずにいれたね…びっくりした」
恐らく途中で屋根の上に移動したのだろう。
中也さんは帽子を目深に被って、じゃあ拷問はと声にする。
トウェインさんはひっ!?と声を漏らしてその勢いで窓を閉めた。
『もっとダメ。拷問が酷いことに入らないと思ってるんですか中也さんは』
「お前以外の奴になんかんな事くらいじゃ酷ぇ事なんかには『なるからね』…そんなに庇うほどの相手なのかよ」
不服そうに眉間にしわを寄せ、中也さんはドカッと先程までトウェインさんの座っていた椅子に腰掛ける。
「え、いやそこ僕が座って…」
『…中也さんは私のとこでしょ。疲れたからもたれさせて』
言えば中也さんは一瞬目を丸くしてから、溜息を一つ吐いて私の隣に腰掛ける。
そこに擦り寄るように抱きつくとまた溜息を吐かれた。
「お前…これしたかっただけだろ」
『ダメ?』
「……いいんじゃねえの」