第12章 夏の思い出
『ちゅ、やさ……っ、ッは、ぁっ…』
「黙ってろっつってんだろ!!カルマ、蝶がこの矢どっかに移せるよう付いててやってくれねえか!」
「え、そりゃ付いてるけど中也さんどうする気!?」
「さっきの野郎にこいつの能力バラすわけにはいかねえんだよ!!とっつかまえて拠点で吐かせるんだよ!!」
私の頬に触れてから、すまねえ…と悔しそうな顔になる。
『……っ、これ…毒塗られて、から…………ッ、気を付け…て…っ?』
「安心しろ、すぐに捕まえてきてやる。だからとっととそれ移動させて治せ、な?……行ってくる」
額にキスを短くしてから、中也さんは異能を発動して犯人捜索に乗り出した。
「…出来そう?」
『ん……ッ、ぁ……………っ、はぁ…ッ…こ、うたい持ってなかったら……やばかった…ッ』
近くの地面に矢を移動させる。
すぐに傷は塞がって血も止まり、暫くすると痛みもだいぶマシになる。
近くに人の気配もないし、こんな毒を放置しておくのも危険…これは一応持って帰っておこう。
ビニール袋に矢を移してから、身体を支えてくれてるカルマ君にしがみついた。
『……っ、これからもし、私がいない時に学校で何かあったら…どんな状態だったとしても絶対に連絡しておいて。私が取り乱してる時だったとしても、絶対に連絡してきて…!!』
「分かった、約束する…さっきの人に心当たりは?」
『あるといえばあるけど、正直言うと信じられない…この事、皆に言わないようにしてて。私もだいぶ血が出ちゃったし、先帰ったって言っておいてくれたら……ごめん、ちょっと疲れたみたい。もうちょっと…待って』
震えが止まったら、離れるから。
中也さんがそばにいないと、こういう時にどうしようもなくなっちゃうから。
「中也さんが戻ってくるまでゆっくりしてなよ、俺もちゃんと付いてるから…」
『ん……次、何かあっても無茶しちゃダメだよ…?私じゃなかったら、死んでたから』
「…………うん、無茶しない。約束する」
プロの殺し屋が本気で殺しに来たとしたら…その恐ろしさを痛感させてしまった。
能力使えたら、あんな相手その場で捕らえて窒息させて気絶させれるのに。
「っ、蝶!!」
「!中也さん……と、その人?」
『…………ッ!まさかとは思ってましたけど、なんで…?ソラさんは仲間だったんじゃないんですか!?』
____カイさん