第12章 夏の思い出
『“国家機密”が不審者扱いされてどうするんです?それも横浜でですよ、横浜で』
「し、白石さん!どこに対先生用BB弾を!?」
『ケースだけは常備してますからね。実弾と一緒に入れてます』
で、何の用ですか?と殺せんせーの触手が再生しきってから問う。
太宰さんは殺せんせーの触手を触りながら面白がったようにつついてるし。
本当気が合うよなこの二人、なんていうか殺せんせー自身も、マッハ二十で動けなくとも相当なやり手だと思うし…もしかして本業は殺し屋だったりして?
太宰さんと同じようなにおいするしなぁ……まあいい人だというのに変わりはないからどちらでもいいのだけれど。
「そ、そう!白石さん、今晩椚ヶ丘で夏祭りがあるんですよ!今日思い立ってクラスの皆に声かけて回ってるんですけど……思いのほか用事で来れない人が多くて」
「へえ、夏祭りかぁ…蝶ちゃんあんまり行ったことなかったんじゃない?行ってきなよ!」
『夏祭り……い、いや…お仕事ありますし』
仕事なんて蝶ちゃんならすぐ終わるでしょ?と太宰さん。
殺せんせーなんか涙まで流して必死だし、なんか罪悪感も湧いてくる。
けどなぁ…今日って夏休み最終日……皆とお祭りもいいけど…
『……ごめんなさい、夏祭りも楽しそうだけど、やっぱりここから椚ヶ丘まで夕方から電車で移動するのも大変ですし…それに今日、中也さんが何やら早く帰ってきてほしいそうなんで。また機会があったらお願いしますね』
「!中原さんから?」
『はい、早くお仕事片付けて帰ってきてくれって言われました。流石にそこからどこかに出かけるとかはしないと思うんですけど…椚ヶ丘はやっぱり遠いですし、中也さんが先に約束入っちゃってますから』
「それなら先生がお二人を連れて椚ヶ丘に『国家機密さん?』あ…」
ふぅ、と息をついてから、本当にすみませんと微笑み返す。
なんやかんやお世話にもなってるし、行きたいとも思ってたけど…祭りなんてまた機会はあるだろうし。
「な、中原さんに相談されてみてはいかがですか!?」
『!…………あー…そう、ですね。はい、帰ってから聞いてみて、行けそうだったらカルマ君か誰かに連絡入れることにしましょうか』
「おおお!ありがとうございます!!いいお返事期待して待ってますね、では!!」
そう言い残して、殺せんせーは事務所の窓から出て行った。