第11章 縁というもの

『移せるわけがないでしょう…死なないって、死ねないって……分からないでしょう！？そんな事簡単に言わなｯ…』

｢…簡単に言ってるように見えるか｣

中也さんの雰囲気に思わず押し黙る。
分かってる、いつだってこういった事には本気で向き合ってくれるのがこの人だって。

だけど流石に今回のについては頭がおかしい…おかしすぎる。
なんで、そこまで私のために考えられるの？
私が散々辛いのを知っていて、死ぬ程渇望しても死ぬ事が出来ないのを目の当たりにしていて……なんで、自分もそれを背負おうとなんて思えるの？

｢お前の核とやらがどういうもんなのかは知らねえが、それが半分になるんなら、あわよくば元々予定されてるもんの半分くらいで済むかもしれねえだろ｣

『ちょっと、流石に頭おかしすぎません…？死ねないんですよ？まともな人間として、死んじゃうんですよ？』

｢それはお前が今まで独りだったからだろ｣

言い返せなくなった。
確かにこの人の言う通り…同じような人がいれば、それもその人がそんなにも愛しい人なのならば、一緒にいられたらそれでいい。

私の望んでいたものだ、だけどこんな方法は…

｢俺だって考えてたさ、そうなれればどんだけお前を救えるかって…自分の情けなさも救われっかって。お前、そういうのは早く言ってくれよ…こちとらお前のデータを見きった時から、覚悟なんかとっくに決めてたっつうのに｣

『やめて…っ？そうやって、言わないで？私と同じ地獄に中也さんを連れて行くなんて……そんな事、私にさせないで？』

｢お前こそいい加減にしろよ、我慢して押し殺してきたお前の最大のわがままがそれだろうが…なんて可愛らしいわがままだよ。一生一緒にいてほしいだなんて、そんな幸せな願い事があるか？叶えられる方法があるんなら、それは俺が一番叶えてやりてえ事なんだ｣

蝶の望みも叶えられて、俺の望みも叶えられる

中也さんは嬉しそうにそう言って、私の頭を撫で続ける。
どこか、本当に頭が壊れてしまったんじゃないだろうか。
好きってだけで、他の誰よりも私の苦しみを知っているこの人は、どうしてここまで言えるんだ。

『……ダメ、だよ。中也さん、私のせいで頭おかしくなっちゃったの…だからっ｢蝶｣!!』

｢お前が悪魔だってんなら、俺は悪魔を愛するさ。…お前が地獄にいるってんなら｣


俺がその果てまでついてってやる