第6章 05
雲「僕の質問が先だった気がするんだけど?」
雲雀は脚を組み直しながら左手はカップ 右手は腰にまわしていた
誰がどう見ても(本人も隠す気はないが)自分の武器たるトンファーを握っている
リボーンはやれやれと言いたそうにカップを置くと今までの経緯を話す
ところどころ端折りはしたものの 大まかな流れはよっぽど鈍くない限りわかるはずだ
雲「ふーん まァ負けてないならいいんじゃない?別に目に見えた怪我だってなかったんだし
君が玄関で動揺していた時は少しだけ驚いたけど…君にしてはめずらしく早とちりかい?」
リボーンは雲雀の後半の言葉にピクリと反応を示した
雲雀がさんをどう思っていようと リボーンには関係ないことだし 事実桃巨会という暴力組織には屈することなく終わることができた
誰ひとり怪我することなく、並盛の悪の芽を詰めたのであれば万々歳な結果ではないか
しかしそれならばさんのあの傷は、本当にリボーンの見間違い 早とちりだったのか?
リ「そうだな…」
違う
確かにリボーンはさんの頭がパックリと割れて出血しているのを一度は確認していた
それこそ見間違うはずないくらいの傷を
だが実際には今現在、傷が跡形もなくなっている
この現象をリボーンは雲雀に説明することが出来なかった
早とちりの一言ですませ、この不可思議な出来事をリボーン自身の胸の内にのみ秘めておく
今リボーンに出来る最善はそれくらいだ
無理矢理に自身を納得させるように数秒目を閉じるとリボーンは雲雀に視線を送った
雲「さんの事を聞きたいんだろうけど、それは叶わないよ
僕ですら彼女の素性を知らないんだから」
雲雀は表情を変えることなくコーヒーを喉に通す
リボーンは雲雀にまともな答えを期待していたわけではなかったようで小さく鼻を鳴らすと立ちあがる
リ「まぁ、お前もあんまり後先考えずに町であばれるんじゃねえぞ」
そう言い残してリボーンは部屋を後にした
雲「フン、本当にくだらないね」
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