第3章 02
小鳥が鳴き始め、真っ暗だった空が少しだけ明るくなってきた頃だった
『っつ!!うわぁぁぁぁああ!!』
見慣れた部屋のベッドから女らしさのカケラもない奇声を発しながら飛び起きたさん
今だに覚束ない思考
そして全身にはうっすらと汗が滲んでいる
『今のは…夢か…?』
ボーっとする思考の中で思い出すのは、今の今まで一緒に居た感覚の消えないルナの事
そして、夢でないことを決定付けるのは手の平のリング
『(何だったんだ……?)
絆揃う時 癒しの念を夜の空へ 貝の想いは海を渡り虹から天使が舞い降りる さすれば願いも届くだろう…か』
さんはリングをサイドテーブルに置き呟きながらベッドを降りると、タバコに火をつけクローゼットへ向かった
冷や汗をかいた身体に、朝の温度は肌寒く下着のみでは冷える
さんは上着を取るべくクローゼットの扉を開いた
『あれっ?何これ?』
クローゼットの中の鏡に映った自分の姿…
胸元にはクロスのタトゥーが浮き出ていて、普段見慣れぬそのタトゥーに少し驚いた
『何だろ…この感じ…
あっ…治癒能力…?私は…本当に…』
そのエンブレムを見ていたさんは夢の中の出来事を思い出す
『絆揃いし時…絆なんてアイツ等しかいねぇよ…
我ら三人 生まれた日は違えども 願わくば同じ日 同じ時に死せん事を…
忘れるわけねぇ…』
さんはこみ上げる感情と溢れそうな涙をグッと堪える
乱暴にとった上着を肩から羽織ると吸っていたタバコを灰皿に押し付けベッドに腰掛け
顔を両手で覆うと落ち着く為に視界を遮った
-コンコン
「ねぇ…さん…起きてるんでしょ?
開けるよ…?」
突然聞こえた雲雀の声にさんは大きく息を吸いゆっくり吐き出すと小さく『よし』と呟いた
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