第40章 『ただいちどたけ』〜 相葉×二宮〜
営業に二人で出ていて、
今日はそのまま帰ることにしていた俺たちは、
並んで歩道を歩いていた。
「ニノ~、お前さ、彼女とか作る気、ないの?」
雅紀に急にそんな風に言われ、
俺は答えに困って黙って彼の顔を見つめた。
「知ってるよ~?結構告られたりしてること。
だから、もしかして、他に好きな人でもいるのかな~?と思ってさ…」
立ち止まってしまった俺に、
雅紀も気付いて戻ってきた。
「…そう言うお前は…どうなんだよ…」
ぼそぼそ答えた俺。
……聞きたくない…
お前の口から、俺以外のヤツの名前が零れるなんて…そんなの想像しただけで…俺……おれ……
「あのさ、俺が好きな子、言ってもいい?」
「えっ?……」
俺より背の高い雅紀が、少し腰を曲げて、
俺の目を覗き込むように顔を近付けた。
………ヤバい//////し、心臓が…
雅紀の綺麗な澄んだ目が…
俺が大好きな優しい目が、俺を……
俺だけを映している。
「あのさ~、俺の好きな子、誰か聞いてくれない?」
好きな子??
雅紀の好きな……
そんなの聞きたくないよ///
そんなの俺に聞かせて、どうする気なんだよ!?
「な、なんで、お、俺に、言うんだよ?」
「ニノに、聞いて欲しいんだ」
………やめて……お願いだから…言わないで…
「その子さ、俺の同期で。
色白で小柄で、すげ~可愛いんだ♡」
「………」
「素直じゃないけど、笑顔が最高にキュートで♡」
「……もう、いいって…」
「ダメ!最後まで言わせて!!」
雅紀の瞳がキラキラと夕暮れの光を集めた。
何て綺麗なんだよ///
「その子、先輩や上司に気に入られて、可愛がられるのが上手くて…
憎まれ口も言うけど、意外と涙もろくて、
女の子みたいに小さくてかわいい手で」
………えっ?
今なんて??
女の子……みたい、って…
そう言った?