第40章 『ただいちどたけ』〜 相葉×二宮〜
俺は物心着いた頃から、
女には興味がなくて。
好きだって思うのはいつも男だった。
「マジで??気持ちわり~!!」
高校の時、勇気を振り絞ってやっと告白したヤツに、そんな言葉で変態扱いされ…
俺の高校生活も終わったんだ。
それからは、自分から告白しようなんて、
そんな大それたことは考えなくなり、
来るもの拒まず、去る者追わず、
のスタンスを貫いてきた。
だから、付き合ったのも数えるほどしかなくて。
それでも、言い寄って来る女の子には、
どうしてもそんな気になれなかったんだ。
そうして出逢ったのが雅紀だった。
入行式、たまたま隣で、意気投合!
明るくて、お日様みたいな笑顔に
俺は瞬殺で恋に落ちた。
奇跡か、はたまた神の悪戯か?
俺は雅紀と同じ営業所に配属になり、
一緒にいられるだけで幸せだった。
「お前たち、いつも一緒にいるよな~。
付き合ってるの~??」
なんて言われて、
「そう!俺たち恋人同士なの!
ねえ~、ニノちゃん♡」
そんなこと言いながら、肩を強く抱かれ、
俺は内心嬉しくてドキドキだった。
それでも、俺から好きだなんて…
告白することは、絶対にできなかった。
大好きな雅紀との関係が壊れてしまうことが、何よりも怖かったから……
そして、
あの日……
一番幸せで、
一番絶望した日……
雅紀と俺は入行してから2年半が過ぎていた。
新規から3年経つと普通は異動になる。
同じ銀行内とはいっても、毎日会う訳にも行かなくなるし、こんなにいつも一緒にいることは到底できなくなる。
雅紀と恋人同士になれたら…
『好きなんだ』って、そう言ってしまえたら…
どんなにか楽になれるのに…
胸に秘めた思いも、そろそろ限界が近かった。
そんな秋の夕暮れの出来事。
雅紀は、
俺の目の前で、
風になった………