第40章 『ただいちどたけ』〜 相葉×二宮〜
実は俺、
誰にも話したことないけど、
………分かるんだ。
正確には感じる、っていた方が正しいかな?
所謂、そっちの…
この世のものではない方の…気配?
っていうのかな?
平たく言えば、霊の存在を感じるんだ。
感じるなんていっても、証明できないし、
感じるっていう他に、何ができる訳じゃないけど…
小学生の頃かな~?
ばあちゃんが亡くなって。
その時、白い布を掛けられたばあちゃんから、
透き通ったばあちゃんが抜け出して、
俺に手を振ってから天井に吸い込まれていなくなるのを、見たのが最初だ。
そういうものなのかと思ったけど、
それを親に話すと、全然信じて貰えなくて。
仕舞には、
「バカだと思われるから、人にそんな話したらダメだからね!」
そう言われてしまった。
……俺だけにしか見えてないんだ。
その事実に気付いても、不思議と怖いという感情はなくて。でも、誰にも話さない方がイイんだな…
そう子どもながらに思ったんだ。
それからは、普通に身体の透き通った人を見るようになった。
毎日のこともあるし、
半年も見ることが無くて、忘れてたこともあったり。
『霊感がある』
って…
俺みたいな人をそういうって知ったのは中学生になってからだ。
何げなく見ていたTV番組。
死んでしまった人の声を聞くっていう、
なんともカオスなその番組だったけど…
初めて、観ている俺にも、画面の中に、
呼びかけられているその人が見えた。
霊媒師と呼ばれる変なおじさんが、
その人の無念な気持ちや、残された家族への思いを涙ながらに話して聞かせているけど…
実際にはその人、そんなこと言ってなくて。
家の庭にある柿の木の根元に、
金の延べ棒をたくさん、缶に入れて埋めたから、
それを家族で掘り出して使ってくれ…
一生懸命にそう訴えていたんだ。