第40章 『ただいちどたけ』〜 相葉×二宮〜
【かずなり】
…………いる……
確かに……そこに……
分かってるんだけどさ。
気付かない振りしてる訳!!
知らん顔してればね?
大抵はいつもいなくなるんだ…
だから今回も…
「お疲れ様~、二宮君!」
今日も爽やかに俺の肩を叩いた櫻井課長。
「お疲れ様です!!」
「おう!早く帰れよ~、今夜はクリスマスだしさ」
「それを言うならイブですよ?課長」
「お、そっか!それ重要か?」
「重要です」
「若者はどっちが大切なのかな~?イブと当日と」
「若者は…って、課長だって若者じゃないですか!!」
「いやいや…俺はもう若くもないから…
じゃ、お疲れ~♪」
「はい!ちゃんと戸締りしてくんで!!」
「頼んだよ~!」
背中を向けたまま、そう手をひらひらさせた櫻井課長の鞄から、チラッと覗いていた紙袋。
俺しっかり見ちゃったしね?
某有名Jewelry店の水色の包み…
恋人へのプレゼントかな?
ドアが閉まった瞬間、腕時計をチラ見してさ!
あんなこと言いながらも、
しっかりイブに待ち合わせしてる恋人がいるんだろう…
…………
「はあ~…(*´▽`*)」
大きなため息を吐いて、俺は席を立った。
銀行に勤める俺は、今日は当番で出勤していた。
正確には、同僚の松本に頼み込まれて、
当番を変わったんだけどね(^^;
まあ、あいつと違って、
俺にはデートの予定もないし、
イブだろうが、クリスマスだろうが、
今の俺には関係のない話だし…
さて。
コンビニでおでんでも買って帰るかな~?
立ち上がって、鞄のファスナーを閉めた瞬間……
…………やっぱり、いる…
今回のは、何だかしつこいな…