第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮
「もう~…ムツゴロウさんじゃないんだからさ…」
憎まれ口をたたきながらも、
俺は幸せだった。
家族旅行のついでだったのに、
そんな風に言われ、なんだか申し訳ないよ…
「あの時は、純粋に一人で頑張る智くんの、
陣中見舞いだったんだよね~」
「純粋に??純粋じゃなくなったのって、いつから?」
「えっ??」
不意に来たその質問に、俺は思わず身体を起こして、智くんの顔を見た。
「いつ、って…」
いつからなんだろう?
智くんを、所謂『恋愛対象』として意識し出したのって…?
答えを探して、視線を泳がす俺に、
「俺はね、気が付いたら翔ちゃんのことが好きだった。いつ気が付いたのかも分かんないけど、
とにかく、急に『あ、分かった!俺、櫻井翔が好きなんだ』って…そう思ったんだ…」
………そんな真っ直ぐな言葉で言われると思ってなかった俺は、感動して、ちょっとだけ泣きそうになった。
「こうして、嵐になったのが偶然じゃなくて神様が仕組んだ『運命』だったんなら…」
「うんめい…」
「そ!!そんなら俺が翔ちゃんを好きになったのもきっと、『運命』なんだな…って、そう思うんだ…」
嬉しくて…嬉しくて堪らないのに、
彼の顔が見えなくなってく…
「泣くなよ…翔ちゃんって、泣き虫なのな~」
泣き虫じゃない…
最近泣いたのだって、思い出せないくらいに前だし…普段は、感動しても泣かない…のにさ。
智くんが、俺の顎に指をかけて上向けた。
「翔ちゃん…大事にするからね…」
「…ん…」
いくつもいつくも頬を伝わる涙を、
智くんの唇が、優しく拭ってくれた。
頬を滑って俺の唇を捉えたそれは、
熱くて、柔らかくて…
そして、何よりも温かだった…