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風 ~抱き合いながら~ 【気象系BL】

第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮



言われるがまま、智くんの隣に腰を下ろした。

「もっと、側に来てよ!
もう~(^^)俺、とって食ったりしないよ~?」

智くんは笑って俺の腕を引いた。

「あ…」

引っ張られて、ビールを零さないように、
慌てる俺の肩を、智くんが強く抱き寄せた。

あ…こんなに、密着しちゃった…

体勢を崩した俺は、
智くんの胸に頬を付ける形で停止している…



…………胸の鼓動が、
更なる緊張を連れてくる。

俺って///
こんな時、どうしたらいいのか?
そんなスキル、持ち合わせてなかったんだ。

今、気付いたよ…(;´∀`)


すると、智くんがゆっくり話し出した。

「翔ちゃん、俺達ずっと一緒にいるよね?」
「うん…そう、だね…」
「嵐でデビューするっていうの知ったとき、本当は絶対嫌だって思った…無理だって。
でも、断らなかったのは、翔ちゃん…
翔ちゃんがいたからなんだ…」

「……智くん…」

「ジャニーズでやってくのも無理だし、
アイドルなんて、俺には向かないって…
京都で2年やって来て、俺のやる仕事じゃない、そう思ってたんだ…」

「あの2年間は長かったんだね~…」
「うん…長かった」


智くんは、高校を止めて、2年もずっと、親元を離れて、京都で舞台をやってた。

それはきっと、俺なんかには計り知れない、
苦悩や孤独があったんだと思う。

「淋しかったでしょ?」

「翔ちゃんが、一度、会いに来てくれたこと、あったよね~、あんときはさ、すげ~嬉しかったんだ」


そう…家族で京都に旅行に行くってことになって、
その中の半日で、俺は智くんを訪ねたんだ。

「翔ちゃんの顔見た時、俺泣きそうだったんだよ…」
「大袈裟だなぁ…」
「いや、ホントだってば!」

肩を抱いていた手で、俺の頭を抱え、
智くんは俺の髪をわしゃわしゃ撫でた。

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