第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮
リハが始まれば、俺達はもう、そこに集中する。
5人の気持ちが、コンサートに向かってまっしぐら…
松潤の真剣モードが、俺達の背筋を正す。
それが、気持ちが引き締まる瞬間でもあって、
その瞬間が、俺は好きだ。
今までずっと、5人で走って来て、
この空気が俺達なんだって、そう言える。
踊りも歌も5割くらいの力でやるけど、
それでも自分のために、
ちゃんと身体に覚えさせるために、
余計な邪念は、頭の中から追い出すんだ。
でも………
時々、智くんと目が合う。
それは、まあ、今始まったことじゃないけど…
何でこんなにドッキンと心臓が跳ねるんだよ///
これじゃ、俺、邪念だらけじゃん///
『しっかりしろよ!俺!!』
自分に言い聞かせ、何とか最後までたどり着き、
長い一日が終わった。
「お疲れ~!」
「この後打ち合わせ、ある?」
「今日は俺だけでいいよ。日を改めて、また…」
松潤に開放してもらえるって分かって、
相葉くんは遠慮なく大喜びして、ニノに脇腹パンチを貰った。
それを隣で見ている智くんの笑顔に、
俺の心臓は、また跳ねた。
その忙しなさに、何だか笑えて来る…
初恋…なんて、そんな言葉、
もう忘れかけているけど。
もしかしたら、一周回って、今がまた『初恋』みたいなもんなのかもしれない…
そう思うと、なんだかくすぐったい様な、
照れくさいような……
甘酸っぱい気持ちになるから、不思議だ…
そんで、そんな気持ちは誰にも話せない…
だってさ、
恥ずかしいじゃん?
四捨五入すると40になる、いいおっさんが、
初恋…だなんてさ…(^^;
照れるし、恥ずかしいし、
誰にも話せないけど……
そんな風に、智くんとのことを始められたことが、
嬉しくて、
そして、幸せだった。