第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮
押さえられていたそこに、
一気に血液が流れたせいなのか?
それとも、智くんに強く握られていたからなのか?
解放された手首は、ジンジンと疼くように熱かった。
通りで拾ったタクシーに二人で乗り込み、
最初に近い方の智くんのマンションに向かった。
「じゃ、また明日…」
智くんは、タクシーの中を覗き込み、そう笑った。
「うん、また…」
タクシーの中…車窓からの景色を眺めながら、
智くんはずっと、シートの上で俺の手を握っていた。
俺も、何喰わぬ顔で流れる街の灯りを見ていた。
でも、全神経は握られた左手に集中していて、景色なんか全然分かんなかった。
色んなことが、もう理解できる範囲の遥か上を行き、俺の思考はショート寸前だった。
あれが大野智か?
まずはそこだ。
俺の知ってる智くんとは、少し…
いや、大分違う。
俺の知ってる大野智は、
呑気で、どちらかと言えば、受け身で。
あ、でも、初めて見るぐいぐい来る智くんが、
嫌なんじゃなくてさ!!
↑誰にいい訳&説明してる~?
ちょっとだけ…
いや、かなり戸惑いもある訳で…
そして、そんな彼が、
俺を戸惑わせている一番の要因は…
『俺が、ウケる方、なのかな?』
と言う事。
メッサ男前に、俺を翻弄する智くんは、
どっからどう見ても、『雄』そのものな訳で…
そうなると当然俺が…?
智くんのことが好きで、
悩んで悩んで、やっと告白した。
でも、幸か不幸か、その先を考えてはいなかった。
『好き』の先……
その思いが届いたなら。
受け入れて貰えたとしたら…
俺は彼とどうなろうとしていたんだろう!?
今まで恋愛経験がない、とは言わない。
そこには身体の関係もあった。
でもその相手は女性だった訳で、
男同士でどうするのか?どうしたいのか??
……俺としたことが、考えていなかったなんて。
そして、今……
考えてみろ!櫻井翔!!
…………考えなくても、答えは、
最初から決まっている。
だって……