第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮
折角智くんと二人で飲みに来たのに、
こんなんじゃ、全然楽しくないし…
こんなの、一緒にいる意味ないじゃん!
「あのさ~、俺、何か智くんに怒られるようなことしたかな~?」
俺は思い切ってそう聞いてみた。
すると智くんは、じっと俺を睨んだまま、
「翔ちゃんってさ、誰にでもいい顔し過ぎなとこあるよね?」
「誰にでも…って…」
そんなこと言われても…
「スタッスさんとか、いつもどこの現場でも、翔くん、翔さん、櫻井くん…ってさ~…
いくら仕事だって言っても、そんなに愛想振りまく必要あんのかな~?って思ってたんだよね~」
………
こんなに早口で長々話す智くんに、
その話の内容は置いていおいて、
俺は少し感心してしまった。
俺が何も言い返さず、黙ってるからなのかもしれないけど、智くんは、驚くべきことを言って来た。
「翔ちゃん、俺の事好きって、言ったよね?」
「え…」
「言った?言ってない?どっち??」
「い、言いました…」
「んで、俺なんつった??」
「…付き合おう…って」
ボソッという俺に、智くんは急に顎を少し上げてドヤ顔になった。
「でしょ?言ったよね?俺…」
そこまで言って、智くんはビールを飲み干した。
「お、おかわりする?」
「おう」
何だかよく分かんないまま、俺はビールを追加した。
その後、確信に触れるのかと思えば、
全然違う話をし始めた智くん…
この間のロケでどんな魚を釣ったとか、
出合った漁船でどんな魚を貰ったとか、
そんな話を延々して…
まあ、智くんが楽しそうだし、
俺もそんな彼とサシで飲むのは楽しいし、嬉しいから、いいんだけどさ…
さっきの彼が気になって…
小さな小骨が、何となく喉に残っているような…
そんな違和感を感じていた。
明日もあるし、そろそろ帰ろうか、ってことになっった時…
先に立ち上がった智くんが、俺の近くに来た。
「何?どうしたの?」
智くんは、俺の肩に手を掛け、壁際に押しやった。
……な、何…??