第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮
「こんなことでよかったかな~?
智くんの思ってたのと違った?」
「……別に~」
あれっ?なんか機嫌悪いような…
「あの~…」
「さっきの彼、翔さん、なんて呼んでるんだ~」
「えっ?」
「カッコ良かったよね~?何歳くらいなの?」
さっきのって……?
「もしかして、お店の…?」
「凄い仲良しそうだったよね~。それに、翔ちゃんのこと、見てる目にハートが見えた」
「はあ~?そんなことある訳…」
智くん……
何、言ってんの?
俺は一瞬、智くんが何で急にそんな事を言い出したのか分からなかった。
さっきまでと違って、
明らかに不機嫌な感じだし……
「あのさ、智くん…」
そこへ、さっきの彼が生ビールのジョッキを抱えてやってきた。
「お待たせしました〜♪」
「あ、ありがと」
別の男の子が、一緒に料理を運んできた。
それで帰ってしまうのかと思ったら、最後に馴染みの方の彼が、
「なんか、翔さん痩せましたよね〜?」
と言ってきた。
「あー、分かる〜?」
「そりゃあ、分かりますよ〜♪ますますカッコ良くなったなぁ、って来たときから思ってたんですよ!」
「ははは、それほど変わんないよ〜」
「じゃ、ごゆっくり♪」
……………個室の戸が閉まると、
部屋の中は、心地いい音楽が小さく流れるだけの、気まずい沈黙がやって来た。
………なんだよ、これ?
智くんは、スマホを弄っていて俺の方を見もしない。
「…あの…、取り敢えず飲もうよ〜」
「……」
黙ったまま上目遣いで俺を見た智くんは、
そのままグラスを上げて、俺の持っているグラスにぶつけてきた。
ガチャン//
大きめの音がして、俺のビールが少し溢れた。
「あっ…」
グラスを傾け、黄金色の液体を喉に流し込みながら、
智くんは慌てる俺をじっと見つめる。