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風 ~抱き合いながら~ 【気象系BL】

第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮



それは……

まるで無限にも思えるスローモーションのようで…

ど、ど、どうしよ////


少しずつ、距離を詰めてくる花のようなニノの唇……

夢にまで見たそれは、直ぐ目の前……


『カチッ!』
↑何かのスイッチが入った音…かな?


後、5mmでくっ付くより
ほんの一瞬早く、

ニノの綺麗な睫毛が伏せられた、その瞬間、俺の方から後頭部をグッと引き寄せた。

「んっ///」

ニノの息が、艶めいて鼻に抜けた……

来たよなっ!?これ、来たんじゃね~??



その時……

『ピンポーン♪…』

「あ、来た!」

その魅惑的な花は、なんの躊躇いもなく、
あっという間に俺から離れて、
ピザを受け取りに行ってしまった。

嘘だろ!?

来たのは、俺たちのターニングポイントじゃなくって、
宅配ピザかよっ///( ̄▽ ̄)

心の中で、転げまわって悔しがる俺に、
気まぐれな姫が無邪気に言うんだ。


「温かいうちに食べようよ!遅くなっちゃったって、ピザ屋のお兄ちゃん謝ってたよ~♪」

……(T_T)…

ニノ~…、さっきの甘い空気、
どうなっちゃたんだよ?


俺は、泣きたい気持ちを抑えて、
蟹のピザを悔し紛れに頬張った。


……チクショー///旨いぜ(´;ω;`)

「相葉さん…美味しいね~?
たくさん食べてね(^^♪」


こうして…
この夜、再びチャンスが訪れることはなく…


深夜…恋人たちの時間になったら、

「俺さ、これから世界中の仲間と、壊滅寸前の村を救いに行かなきゃいけないからさ~、ベッド使っていいから、先に寝てて~」

と、姫から勇者に変身した恋人に、
見事なまでの放置を食らった。


項垂れて、愛しい姫の丸まった背中を何度も振り返りながら、俺は何もできずに寝室に向かった。


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