第38章 『はじめのいっぽ』大野×櫻井、相葉×二宮
「な、な、なに?えっ??」
「違うの~?」
相葉くんは、呑気な声で、俺を見もしないで、
中華丼を口に運んでいる。
「…なんで?そんな、こと、さ…」
「翔ちゃん、リーダーの事、好きでしょ?」
………
「見てれば分かるよ♪俺たち何年付き合ってると思ってんの?」
「…いや…あの」
相葉くんは、食べる手を止め、口の中のご飯をお茶で流し込んでから、真剣な顔で俺を見た。
「翔ちゃんなら、俺の気持ち、分かってくれるんじゃないかな?って、ずっと思ってた…」
「相葉くんの…気持ち?」
「………俺が好きな人って、分かる?」
相葉くんが、見たことない真面目な顔してそう言った。
……え~っと。
相葉くんの好きな人?
そんな質問するってことは、
もしかして俺の知ってる人?
「ちょっと待って!考えるから…」
「うん…いいよ」
……相葉くんの好きな人…
そう念じながら目を閉じると、
浮んで来たのは、ある一場面。
ダンスの練習中、バランスを崩して倒れ込む二人。
その華奢な身体を抱えるように抱き締め、
笑う相葉くんの顔…
……分かっちゃった……俺。
「…ニノ…だよね?」
真っ直ぐに見つめる俺に、
相葉くんは大きく頷いた。
その表情だけで、今彼が直面している悩みの正体が、俺の頭の中でフラッシュバックした。
「…相葉、くん…」
「分ったでしょ?俺のため息の訳…
翔ちゃん、もしかして、俺と同じ、なのかな?って、そう思ったんだけど…違う??」
……相葉くんは、俺が智くんを好きだって分かってた。
分かった上で、『おなじ』だって、そう言う。
ってことは…
「ニノとは、進んでないの?」
色んな質問も疑問もかっ飛ばして、
単刀直入に聞いた俺に、相葉くんは急に泣きそうな顔になり、
「しょおちゃぁ~んっ///」
と抱きついて来た。