第36章 『夏だ!山に登ろう!』〜大野×二宮〜
頭は混乱したままでも、
答えなんか出てなくても、
傾向と対策が練られてなくても、
俺は身体的疲労には勝てずに、ガッツリ寝てしまった。
「二宮さん、付きましたよ」
マネの声で目が覚めた時は、もうバスは止まっていて、それぞれが降りる用意をしている。
「あのさ、今日俺、ニノんち行くから、送りはいいや~」
背中で大野さんの声がした。
……自分のマネに送りはいいと…
いや、俺、それ聞いてないけど…
一緒に来るとか?
「ほれ、行くぞ」
気が付けば大野さんは俺の前に仁王立ちして、
リュックを背負って笑っていた。
「…あ、はい……」
俺は素直にそれに従った。
そんな俺を、他の3人が笑って見てたこと、
後になって聞いた。
でも、この時の俺は、全然余裕なんかないから、
前に見える、大野智の背中しか見てなかったんだ。
マネも、仲良し嵐の延長くらいに思ってるから何も聞かないし、大野さんも目を閉じてるから、
寝てんのか起きてんのか?
それすらも分からない…
ロケバスから事務所の車に移ってからの俺は、
きっとはたから見ても挙動不審だったに違いない。
目を閉じる、大野智の横顔を盗み見る。
………綺麗だな~…
もうずっと…結構最初っからだよな…
この人の事、特別な目で見るようになったこと。
男だから…
同じもん付いてんのは、何度も見てるし…
だから、最初は気付かなかった。
『好き』だってこと。
俺が、大野さんを目で追うのは、この人の事が、
所謂『恋愛対象』としての『好き』なんだってこと…
だから俺は…
「着きましたよ~」
あ……
着いちゃった……(´・ω・`)
「あ~?着いた?じゃ、行くか♪」
「うん…」
俺たちは当たり前のように二人で一緒に、
俺の部屋に向かった。