第36章 『夏だ!山に登ろう!』〜大野×二宮〜
「智くん…こんなところにいたの?」
大野さんのところに、翔ちゃんたちが着いたらしい。
「翔ちゃん!!ニノが!!ニノが!!」
「ニノ?ニノがどうしたの??」
「ニノが、こっから落ちちゃって!!!俺///」
「落ちた??ここから?…でも、ここって…」
その直ぐ後、翔ちゃんが俺の隣に飛び降りて来た。
「ニノ、大丈夫?」
「…翔ちゃん…」
俺は、ゆっくりと立ち上がった。
「ふぇ??ニノ??」
頭上から、間抜けな大野さんの声がした。
凄い下まで落ちたと思っていた俺の声が、すぐ下でしたから、びっくりしてるんだよね?
俺だって、スーパーびっくりしてるよ…(-ω-)/
滑落したと思ったのに、落ちたなんて言えないレベルしか落ちてなくて…
あっという間に着地した俺は、
当然全くの無傷なわけで…
「怪我した?」
「うんん、でも…大野さんが…」
「ニノ??ニノ?そこにいるの?」
相変わらず驚いたような大野さんの声…
「うん…いるよ…」
「ここ、大した崖じゃないんだ…霧で見えなかったんだね~?…智く~ん、怪我したの?
あ、ニノ、自分で上がって来れるよね?」
「……うん…」
俺は、翔ちゃんの後について、小さな崖を…
いや、少しだけ大き目な岩を登って上に戻った。
無情にも、今になって少しずつ真っ白だった霧が晴れて来た。
ぼんやりと浮かぶ大野さんの顔…
普通なら、感動の再会で、
大いに盛り上がっていいはず…なのに…
だから……
だからこそ、
こっ恥ずかしくって、目を合わせられない。
これで死ぬんだって、そう思ったから、
だから告白したのに…
ここは墓場だって思ったからこそ、
秘めた思いを打ち明けたのにさ…
最後だって信じたからこそ…
大好きな人に……
大好きだと……伝えたのに…