第36章 『夏だ!山に登ろう!』〜大野×二宮〜
大野さん……
俺…俺さ…
「ニノ~!頑張れ、きっとみんなが来てくれるよ!
それまで頑張れ!!」
ふと見ると、俺を掴んだ大野さんの手首が、
岩に当たって血が出ていた。
「もう、無理だよ…大野さんまで落ちちゃったら、困るだろ~?だから離してよ///」
「そんなこと出来ないよ!」
「出来なくても、やって!!」
俺が指を離そうとすると、彼は増々強く握って来た。
このまま、ここで落ちるのも、ある意味運命かも…
大野さんと、最後の瞬間、一緒にいられたし。
…………そう。俺はずっと、大野智が好きだった。
もう何年も片想いしてきた。
男同士だし、この人女好きだし。
この気持ちは、墓場まで持って行こうと心に決めていた。
だけど……
このまま死ぬんなら…
ここで、俺の人生終わるんなら…
伝えたい///
どうせ死ぬんだから、その後の事とか考えなくってもいいんだし…
このまま死んじゃったら、俺、
俺の気持ち…俺の片思い…可哀想じゃん…
「ニノ~、だいじょぶだからな!あと少しで…」
大野さんの額から、脂汗が吹き出している。
もう限界なんだ…
だったら…俺……
「大野さん…好きだ」
「へっ??何言って…」
「ずっと、あなたが好きだった!」
「ニノ…」
大野さんの目が大きく見開かれた。
真っ白い世界の中…
俺が見えるのは…見ているのは、
大好きなこの人の顔だけ…
なんか、イイじゃん…幸せかも。俺…
「大野さんと一緒に嵐になれて、俺は幸せだった」
「止めろ…そんな…」
言わせてよ…俺最後なんだよ?
「今まで、ありがと…」
「やめろ…」
「あなたに会えて、良かった…」
「ニノ…」
ヤバい泣けてきた…
「俺の分も…幸せ掴んで」
「ダメだ、ニノ…」
「大好きだよ」
「ニノ…ニノ…」
「…さよなら…智…」
「ニ―――――――ノ――――――――ッ/////////」
結ばれた俺たちの手が、
…離れた……