第36章 『夏だ!山に登ろう!』〜大野×二宮〜
「ここら辺でいいかな?」
「うん…」
俺たちはちょっとだけ離れて用を足した。
大野さん、その前にもしてたから、もしかして俺に付き合ってくれたのかな?
そう思ったけど、何だか恥ずかしいから黙っていた。
なんなら、大野さんの音も少し聞こえて、
『俺のも聞こえてんだろうな…』と思うと自然と顔が熱くなったけど、こっちも黙っといた。
なんなら、初めて聞いたわけでもないしね…
少し離れた大野さんのところに行こうと歩き出したけど、あっという間に辺りは真っ白になった。
…ヤバいな…これ…
「ニノ~、どこ?」
「ここ…」
半分しゃがみ込みながら、足場を確認し少しずつ先に進む。
「どこだよ?」
「ここにいるよ…」
声のする方に何とか進み、
やっとのことで伸ばされた手を握ったその時、
足元が一気に無くなった。
嘘っ!?
「わああああぁっ//////」
「ニノ!!」
俺は岩場から足を踏み外した。
慌てて強く握り直してくれた大野さんの顔が見えた。
「大丈夫だ、しっかり掴まれ!」
「脚が、付かない///」
突然のことに、俺はパニックになる。
どうしよう///
落ちる///
このまま、俺、滑落するのか!?
「ニノ…今、上げてやるから…待って、ろよ…」
大野さんが、俺の身体を持ち上げようとするけど、
全く宙に浮いた状態の俺を片手で上げるなんて無理だ。
「大野さん、無理だよ」
「無理じゃ…ない…ううっっ…」
ダメだ///
このままじゃ、大野さんも一緒に落ちてしまう。
そんな訳に行かない!
……落ちるのなら、
俺一人でいい…
「大野さん…手、放して…」
「えっ??何言ってんだよ!?」
慌てた顔の大野さんが俺を見つめた。
眉毛を下げて、泣き出しそうな顔で…