第36章 『夏だ!山に登ろう!』〜大野×二宮〜
「あ~!!着いた~///」
相葉くんの歓声に引き摺られるように、
俺と大野さんも、最後のひと踏ん張り。
「ニノ…着いたぞ~」
「えっ?ホントに??」
最後、ホントに大野さんに引っ張り上げてもらって、
俺も何とかリタイヤせずに、山頂に到達できた。
「ほれ…見てみろよ、景色…」
大野さんに言われ、俺は顔を上げ大きく息を吸い込みながら周りを見た。
わあぁ~…ホントに…マジですげ~…
『山なんか俺には関係ない』
と鼻から決めつけて、挑戦することも無かった。
だけど、
道中辛いときの仲間の励ましや、
いつもは見ることができないような、解放された笑顔に…
岩場に咲く小さな花や、小鳥のさえずり。
頬を撫でる風に、雲がすぐそばを流れていく…
俺が普通に生きていたんじゃ味わえないような感動が、そこにはあった。
人が皆、こぞって山に登りたがる気持ちが、
ちょっとだけ分かった気がした。
今目の前に広がっている絶景のパノラマに、
自分の悩みとか、くだらなことだな…って…
そんな気になれた。
「人間ってさ、なんかちっちぇえな~」
俺の隣で、大野さんが、俺が思ってたことと同じことを、ポツリと呟いた。
「よく、頑張ったな」
そう褒められ、素直に、
「ありがとね」
と言えた。
心が洗われるって…きっとこんな気持ちなのかな?
「なんかさ!心が洗われたっつーかさ~!」
相葉くん、君も同じ気持ちなんだね…
それから俺たちは、持ってきたコッヘルで、お湯を沸かし、コーヒーを淹れ、カップ麺を食べることに。
「あっ!!お湯、あっち///」
「入れ過ぎないでよ~?」
「あ~!!コーヒーの粉、零れてるよ!」
「じゃ、相葉さん、お湯ね!」
「えっ?俺、お湯だけ~?」
みんなでワイワイしながら食べたカップ麺は、
今まで食べたどんなご馳走よりも、美味しかった。