第33章 『君が好き scene2』~松本×櫻井~
【 翔side 】
収録も終わって、さてさて、どうしたもんかな~、
としばし考える。
潤と食事に行くのを忘れた訳でもないし、
本気で止めたいって思ってる訳でもない。
でもさ...
何か意地になっちゃって。
平気だって顔しながらも、実はすげ~落ち込んでいるのが分かってるから。
可哀想かな?という気もしてるんだけど。
振り上げた拳の降ろし方が分からない...
という感じなんだよね。
のろのろと帰り支度を始めたその時、
智くんが声を掛けて来た。
「ねえ、さっき言ってたDVD、観に来る~?」
「えっ?...ああ、そうだね...うん、行こっかな~」
そう言いながら潤をチラッと見たけど、後ろを向いていて、表情は分からない。
すると相葉くんが、
「松潤とご飯行く予定だったお店って、キャンセルしてないんでしょ?みんなでこの後行こうよ...」
と声を掛けて来た。
「ね!行こうよ松潤!」
智くんに言われて、潤は渋々立ち上がって、チラッと俺を見てから、
「俺は、いい、けど...」
と言った。
「よし!そうと決まればすぐに行こうよ、俺と大ちゃんが一緒に送ってもらうから、翔ちゃんと松潤とニノは3人で行ってね~」
「え~!?俺も行くのかよ~///」
急に言われたニノは、抗議の声を上げたけど、
「ほら、行くよ!」
珍しく有無を言わさぬ相葉くんに急かされて、
俺達はそれぞれ言われたとおりに車に乗り込んだ。
潤と二人だとどうしようかと思ってたけど、
ニノがいたし、何とか気まずさも紛れて一安心だった。
車の中では、流石のニノも、
俺達を放置してしまうのは忍びなかったのか、
珍しくゲームもしないでちょこんと座っている。
「俺、昼時間無くてほとんど食べてなかったの、今思い出したよ~」
ワザとお道化て見せるニノに、
申し訳ない気持ちの俺は、肩を竦めた。