第32章 『小人のくつや』~大野×二宮~
「ちょっと股下、測らせてね~♪」
「おまっ///触んなよ~」
「あれぇ~?また少しおっきくなっ」
「うっせえ~///早く作れよ!」
「ふふふっ、はいはい...」
俺が、布を切ったりミシンをかけたりしている間、かずはポケットから顔を出して、じっと見ていた。
「お前、上手いな~..」
「あのさ、俺、智っていうんだよ、名前...」
「...知ってるよ..」
「えっ?そうなの~?」
そう言えば~、
何でかずは俺ん家に来て、靴作ってくれてんだろ~?
↑やっとそこに気付いたんかよ///
「ねえ、かず...何で一人でここに来てたの~?」
俺はミシンをかける手を休めないで、かずに聞いた。
するとかずは、
「...言わない...」
「へっ?」
「...教えない...」
何でだよ...?
理由があんだろ~?教えないってさ...
「もしかして、俺に惚れてたりして♪」
「ばっ///」
えっ??......えっ??
え――――っ???
冗談で言ったのに、かずはぽけっとの中で身を縮めてすっかり隠れてしまった。
...俺のことが...好き??
小人のかずが~?
「ねえ、出てきてよ...顔見せて~?」
「...ヤダ///」
......俺に気持ちを知られて、恥ずかしがってるのか、かずは胸ポケットの奥に隠れてしまった。
はあ~...
どうしたもんかな...?
その後俺は黙って黙々とかずのための服を作った。
かずも、全然顔を見せてくれないまま、時間が過ぎていった。
「かず...できたよ~♪」
「......」
「かず。出てきて、着て見せてよ~」
そっとかずがポケットから顔を覗かせた。
上目遣いで、俺を不安そうに見上げる潤んだ目に、心臓がキュウ~ッと音を立てた。