第32章 『小人のくつや』~大野×二宮~
「...おいおい、4足分って何だよ?
図々しいにも程があるぜ...」
「...こんなに一度に作れる訳...ヘックシュ///さむっ」
俺は誰かの可愛らしいくしゃみで目が覚めた。
あれっ?俺、何でこんなとこで...?
「今夜は冷えるな~...早いとこ作っちまうか...」
その声に俺は一気に覚醒した。
来たんだ!!
有名な靴職人!!
↑いつからそんなスタンスになった?
恐る恐る目を開けて、棚の陰からそっと覗くと...
そこには...
「ああっ!!!」
そこに居た驚きの人に、俺は我を忘れて大きな声を出してしまった。
すると、慌てた靴職人は、もんどりうって作業台から逃げ出そうとした。
あんまり慌てていたからだろう...
靴職人は、
↑しつこいっ///
台の上から落っこちた。
「あ!!危ない///」
急いで手を伸ばしたけど間に合わなくって、靴職...
その人は床に落っこちてしまった。
......
.........
...
「痛ってぇ~...」
「あ、気が付いた!良かった~?俺死んじゃったと...」
「...あ...」
急いで逃げようとするその人を手で捕まえた。
「離せよっ///何すんだよ~///」
暴れてるけど、どうってことない。
だって、その人は俺の手のひらにしっかりと握ることができるくらいに小さかったんだ。
「ねえ、君、誰?」
「......」
「あの靴、君が作ったの?」
「......」
「どうして、裸なの?」
「...どうしてって、服がないからに決まってんだろ~?」
「寒くないの?」
「さみ~よ///だからさっき、くしゃみして..」
はあ~っ、はあ~っ...
俺は手の上のその人に息を掛けて温めた。
その人は、もう逃げようとしないで、大人しくしていた。