第32章 『小人のくつや』~大野×二宮~
「翔!きっとこれだよ~!だってこの靴、凄い素敵だもん!見てみて~♪」
「他にないから、そうだろうね~...ホントだ~!こんなお洒落な靴、見たことないね。
この靴、買えますか~?」
「え、ええ、まあ...」
「おそろいで買おうよ、翔!こっちの赤い糸のが翔で、緑の糸のが俺...ねえ~、いいでしょ~?」
「ご主人、いいですか?これ、二足ともいただきたいのですが?」
「はあ...」
こんなにすぐに売れるって...
正直俺はもう、戸惑いしかなくて...
それを、櫻井という医師は俺が売り渋っていると勘違いしたのだろう...
「失礼と思ったなら謝ります。でも、私たちはどうしてもこの靴が欲しいのです。
お金ならいくらでもお払いしますので、どうか、思い入れのあるこの靴を、私たちに譲ってはいただけませんか?」
どんぐりみたいな大きな目でじっと見つめられて、
俺はドキドキした。
この綺麗な先生がいる病院に、行ってみたいとさえ思っていた。
「あの...ご主人...?」
「え、あっ、はい...いいですよ、お譲りします。丁度、この靴、別々に売ってしまうのは残念だと思っていたところなので...」
「ホントに?嬉しいです!俺と翔なら、いつも一緒に居ますから、この靴は離れることはありませんよ~」
「雅紀...余計なことを...」
櫻井さんが相葉さんをメッという感じでたしなめると、相葉さんは舌をぺろっと出して首を竦めた。
櫻井さんの相葉さんを見つめる目が、愛情にあふれていて...見ている俺も、何だか幸せになるような...そんな気がした。
この二人の関係って.....
もしかして...
所謂、そういう...?