第32章 『小人のくつや』~大野×二宮~
翌朝。
飛び起きた俺は、急いで昨日切って置いた皮を確認すべく、作業台に行った。すると....
「わあ~!凄い!今度は二足、ちゃんとできてる!
今度の靴も凄いカッコいいし、お洒落だな~...」
今度出来上がっていた靴は、お揃い感のある2足で。
別々に売ってしまうのが惜しいと思えるような出来栄えだった。
「じゃあ、これをショーケースに並べて...っと」
俺は靴を店に出した途端、突然ドアが開いた。
「なっ///」
「ちょっと雅紀、いきなり失礼だろ~?」
「だって翔!先に買われちゃったらどうすんだよ~!?」
「大丈夫だって!こんな朝早いんだから...」
「でも...」
「あの~...」
突然現れた騒がしい二人連れに、俺はおずおずと声を掛けた。
すると、二人が一斉に俺を見た。
「あ、これは失礼いたしました。私、こういうものです...」
見たこともない様なイケメンのその人は、俺に1枚の名刺を指し出した。
「櫻井総合病院、櫻井..翔...お医者様、ですか~?」
「はい、でこっちは..」
「こんにちは!俺は相葉雅紀っていいます。翔の...あ、櫻井先生の病院で看護師をしています!」
「はあ...」
人懐っこい笑顔のその人は、優しい笑顔で俺を見つめた。
「...で~、今日は、何か...?」
すると、翔と呼ばれたイケメン医師は、
「実は昨日、友人の松本が、こちらで見たこともない様な靴を買ったというので、早速来て見たんです...」
「あ~...」
俺は昨日靴を買ってくれた、濃ゆい顔の紳士を思い出した。
「それで、その靴、俺達も欲しいなって思って、今日来たの!...で、靴はどこに~...あった!!」