第30章 『炭酸みたいな恋をしよう! scene2』~櫻井×大野~
【翔】
リビングに入ってくると、何だか妙に静かな気がする。
別に今までだって、まだ家の人が帰って来る前に上がり込んでたこともない訳じゃない。
でもそれは、いつ帰ってくるとも分からない家族の影があってこその。
変な言い方だけど、安心感があった。
『迂闊に智くんに手を出すわけにいかない』
なぜなら、すぐに家の人が帰ってくる可能性があるから....
だからキスも、それ以上には進まない...進めない最低限の距離を、ちゃんとキープしてた。
しかし....
今日はそのストッパーがない....
俺の理性に働きかける足枷がない(-""-;)
それに...
あろうことか、俺のリュックの奥底には、ニノお勧めのアイテムが紙袋に入ってスタンバってる。
...いや待てよ?ビニール袋だったかな?
↑それはこの際どーでもいい///
「あ、荷物そこに置いといてね...翔くん、昼ご飯は~?」
「早めに食べて来たんだ...」
「そっか...俺まだだから...よかったら一緒に食べない?サンドイッチ...母ちゃん、翔くんも食べると思ってたくさん作ったみたいだし...」
智くんが何となく淋しそうな顔して、俺を見てる。
...なんか、胸がキュンってなった...
「うん...食べよ!俺、実はそんなにお腹いっぱいじゃないし...全然食べれそうだもん♪」
出来るだけ明るくそう言うと、智くんは、
「よかった..」
と、ふんわり笑ってそう言った。
俺達は、他愛もない話をしながら智くんのお母さんのサンドイッチを食べた。
午後の柔らかな日差しが差し込むダイニング...
智くんと二人で向かい合ってることが、なんだか妙に照れくさくって...
そして、凄く、
しあわせだった。