第30章 『炭酸みたいな恋をしよう! scene2』~櫻井×大野~
【智】
ピンポ~ン♪♪
あ!!来た。翔くんだ❤
俺は転がるように階段を駆け下り、大急ぎで玄関の鍵を開けた。
「こんにちは~...」
「いらっしゃい!待ってたんだよ~♪上がって上がって!!」
「...お邪魔しま~す...」
翔くんが来た!!翔くんが...
気のせいか、翔くんはちょっと元気がない気がするけど...?
「さっき母ちゃんたち出掛けちゃったんだ~。翔くんによろしくって!」
「そうなんだ...挨拶しなきゃいけなかったよね~。これ、お土産に...」
翔くんは駅前のケーキ屋さんの袋と、ケーキの箱を差し出した。
可愛い籠に入った焼き菓子の詰め合わせ...
「あ!母ちゃんここのマドレーヌ大好きなんだよ~♪流石翔くん❤ケーキも~(^^♪後で食べようね!」
何かさ...緊張してきて、いつもより饒舌になる俺...翔くん、変に思ってないかな~??
......もしかして、俺の下心、バレてたりしないよね~?(#^^#)
↑向こうもいっぱいいっぱいだから大丈夫です..
「上がって~♪」
手首を掴んだら、翔くんはほんの少し、ピクッてなった。
...あ...
一瞬絡んだ視線が、一気に恋人たちのそれに変わる。
もしかして...
キス、されるの、かな?
何て、ちょっぴり期待したんだけど。
翔くんはすっと視線を反らして、
「お邪魔しま~す...」
と、靴を脱いで揃えると、俺の横をすり抜けてリビングのドアを開けた。
......そうだよね...そんな、急にね...
離れていった彼に、胸が少し痛かったけど。
平気な振りをして翔くんの後を追った。
『あんた、よっぽど魅力ないのね~』
ねえちゃんの言葉が、胸の中で何度も繰り返し聞こえてた...