第29章 Happiness~櫻井×二宮~
でも俺は...
この後も、その宝くじのことが気になって、
そわそわしていた。
......もしかしたら...
もしかするかもしれないじゃん///
それからしばらく飲んで、俺はかずと俺のマンションに帰って来た。
かずは宝くじの話なんか忘れてるみたいだった。
でも俺は、どうしても胸がざわざわして...
確かめたくて仕方なかったんだ。
「どうしたの~?何探してるの??」
帰るなり、あちこちひっくり返している俺を不思議に思ったかずが聞いてきた。
「え~?...あ~、いや、大したものでもないんだけど...えっと~...こっちかな?」
心当たりを探してみたけど、
たった1枚の紙きれは見つからず...
俺が夢中になって探す様子に、不安そうにしているかずに気付き、探すのを止めた。
「...かず...おいで。」
「はい...」
かずを抱き締めた。
「今日は疲れただろ~?」
「楽しかった♪翔さんの仲間、みんないい人だね~」
「遠慮なく、根掘り葉掘り聞きやがって全く...」
俺はかずの髪をそっと撫でた。
かずは俺の腕の中で、猫のように目を細めた。
......必ず...かずを助けてやるんだ。
今の生活から。
俺だけのかずにしたい...ちゃんと言葉で約束してやれないのが歯がゆいけど。
何年かかっても必ず...
「......翔さん、ずっとこうしてたいな...」
目を閉じたままボソッとそんなことを言うかずに、俺は胸が締め付けられる思いだった。
小さな身体に、色んな責任や苦悩を背負って。
それでも腐らずにちゃんと前を向いている...
そんなかずが、愛しくてたまらない...
「かず...好きだよ...」
そう囁くと、かずが俺の胸の中で身体をずらして俺を見た。
その目には涙がいっぱい浮かんでいた。