第29章 Happiness~櫻井×二宮~
何の解決策も思いつかず、
かずを他のヤツに触らせたくない!
ってそう思うけど...
今の俺じゃあ、どうすることもできなかった。
自分の不甲斐なさに、泣きたくなるけど...
5000万なんて大金、直ぐにどうこうできるものでもなく...途方にくれながらも、かずとの関係は続いていた。
「翔さん...翔さんと俺って、恋人同士...なの?」
一緒に歩いていると、急にそんなことを言うから、驚いてかずの顔を見ると、
「どうして、そんなこと聞くの?」
「うん...実は山口さんに、最近俺が変わったって言われて、翔さんのこと話したんだ...
そしたら、付き合ってるのか?聞かれて...そう言えばちゃんと言われたことないって答えたんだ。
そしたら、お前みたいなヤツに本気な訳ないから、信用しない方がいいって...でも、俺...」
俯くかずを、俺は少し乱暴に引き寄せて胸の中に閉じ込めた。
......不安にさせた///俺がちゃんとしないから...
「...翔さん、人に見られるから...」
かずは俺の腕から逃れようとしたけど、俺はそれを許さず、背中をきつく抱き締めた。
「かず...ごめんね。ちゃんと言わなくて...分かってるって...言わなくても伝わってるって、そう思ってたんだ...」
「翔さん...」
「かずが好きだよ...ずっと一緒に居たいって、そう思ってる...だから、俺の恋人になって!」
抱き締めたまま、耳元でそう言った。
ストレート過ぎて自分でも恥ずかしいけど。
するとかずは、顔を上げて俺を見つめた。
その目からは、今にも大粒の涙が零れ落ちそうだった。
「翔さん、嬉しい...そんな風に言ってもらったこと、今までないから...こんな俺でも...いいの?」