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風 ~抱き合いながら~ 【気象系BL】

第29章 Happiness~櫻井×二宮~



山口さんは、かずの親父さんが残した、
5000万の借金をすべて返してくれ、
その代わりに、かずに自分のところで働くように...
嫌だと逃げ出さないように縛りつけた。


「それまでさ...男どころか、女の子とだって、そんな経験はなかったから...
ホントは嫌だったけど...弟たちの面倒も見てくれるっていうし...」

俯きながら、ポツリポツリと話すかずのは、
驚くほどに普通の口調で、まるで人のことを話しているようだった。


生活の面倒を見てくれる代わりに、
かずが稼いだ金は全て、山口さんが持って行った...まあ、5000万も出しているんだから、当然と言えば、そうなんだけど...

「その...マッサージとかは、どこで習ったの?
凄く本格的だよね?」

「学校に通うように...山口さんが...」
「その学校って、普通の...だよね?」
「勿論だよ~。始めはホントにマッサージだけだったんだ、俺...でも...」


山口さんと言う人が、
かずにそっちの世界を教えた...

言いにくそうにしながら、かずはそう言った。

散々、そっちの世界のノウハウやテクニックをかずに仕込み、そして今の仕事をさせるようになった。

「山口さんは、嫌じゃなかったの?
その...かずが、お客さんの相手をすること...」

「...?嫌って?」
「だから、その~...恋人同士だったんでしょ?」

俺の言葉を聞いて、かずは吹き出した。

「そんな訳ないじゃん///俺みたいな子は、他にも何人もいるんだもん...
山口さんが面倒見ていた子は、知ってるだけでも5人はいるよ...」


......衝撃的だった。

そんな世界があるなんて...

そしてそれを、当たり前のように語るかず...

俺では...
彼を救うことはできないのか??

彼を、その闇の世界から、連れ出す術は、
俺には、ない...のか...


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